ポップソングを聞いていて、気になった歌詞を繰り返し聴いたり、その意味を調べたり…そんな経験のある英語学習者は、きっと多いと思います。今回、みなさんにおすすめするのが、オリヴィア・ロドリゴの新アルバム「Guts」。数々のヒット曲の中に、上級学習者向けの表現力豊かな言い回しがちりばめられています。中でもアルバムのタイトルとなっている「guts」は、一語でたくさん学ぶことのできる、興味深い単語です👀
もともと「guts」は日常的にひろく気軽に用いられ、「内臓」「はらわた」を意味しますが、転じて「本質」や「本音」などの意味や、さらには「勇気」や「根性」を表すスラングとして使われることもあります。「guts」を使った慣用句は数多くあり、組み合わせる言葉によって意味が大きく変化します。ちなみに、オリヴィア・ロドリゴがアルバムのタイトルを「Guts」としたのも、この言葉の持つ意味の多彩さが理由だそうです。事実、他のポップソングの歌詞にも、「gut」を使った言い回しがたびたび登場します。
今回のブログではこの「guts」を使った慣用句の例を6つ、紹介しますね!
その1:Spill your guts
「spill your guts」は、直訳すると「内臓をこぼす」。つまり自分の状況や考えについて、さらけ出すということです。日本語にも「腹を割って話す」という、近い表現がありますね!
例
My best friend and I had a long conversation–we both spilled our guts!(親友と私は、お互いに腹を割って長時間語り合った!)
おすすめの一曲
ロード『Perfect Places』:Spill my guts beneath the outdoor light(外灯の下で、自分をさらけ出す)
その2:It takes guts to…
この言い回しでの「guts」は 「勇気」や「度胸」を意味するスラングであり、動詞「takes」は ここでは「~を必要とする」を意味します。つまり、何かを行うのに勇気や度胸がいるということ。日本語の「腹が座っている」という表現に通じるものがありますよね。
例
I’m impressed that you went skydiving. It takes guts to jump out of a plane!(スカイダイビングをするなんて、君はすごい。飛行機から飛び降りるのは勇気がいるよね!)
おすすめの一曲
ザ・スミス『I Know It’s Over』: It takes guts to be gentle and kind.(勇気がなければ、優しく親切であることはできない。)
その3:Have the guts to…
これも使い勝手の良い、便利な言い回しです。ここでの「guts」もまた「勇気」や「度胸」を意味し、「have the guts to do ~」は「~をする度胸/勇気がある」ということです。
例
She had the guts to swim with sharks in the ocean!(彼女は海でサメと泳ぐ度胸があった!)
逆に「don’t have the guts to do~」と言えば、「怖くて~できない」ということです。
例
My best friend went swimming with sharks, but I didn’t have the guts to get in the water. I stayed in the boat!(親友はサメと泳ぎに行ったが、私は怖くて水に入れず、ボートに残った。)
おすすめの一曲
アークティック・モンキーズ『Do I Wanna Know? 』:So have you got the guts?(それで、覚悟はできたかい?)
その4:A gut feeling
「gut」はスラングで「直観」を表すこともあります。「gut feeling(内臓の感覚)」または「gut instinct(内臓の勘)」があると言えば、何かに対して論理よりも感情に基づいた強い感覚を感じるということです。また「trust your gut(自分の直感を信じなさい)」や「listen to your gut(直感に耳を傾けなさい)」という表現として使われることもあります。
例
I couldn’t see any problems, but I had a gut feeling that there was something wrong.(特に問題があるというわけではないのだが、何かがおかしいという胸騒ぎがした。)
おすすめの一曲
ケルシー・バレリーニ『Subject to Change』:Thank God, I got a strong gut feeling leading me to somewhere new.(新しい場所に導かれているという強い直観があるの、神様ありがとう。)
その5:I hate your guts!
これはとても強い言い回しで、誰かについて「hate someone’s guts(その人のはらわたを憎む)」と言った場合、それは、心底その人が大嫌いだということを意味します。したがって、あえてそのような表現をしたいとき以外、使用には気をつけてください。ちなみに癇癪を起こした子どもが使う類の言葉でもあります。
例
The villain in that movie was horrible! I hate his guts!(あの映画の悪役の気持ち悪いことといったら!心底ぞっとする!)
おすすめの一曲
ジョン・メイヤー「Love on the Weekend」:I hate your guts 'cause I'm loving every minute of it.(君のことが隅々まで好きすぎて憎いくらいだ。)
その6:Gut-wrenching
「gut-wrenching(はらわたがねじれるような)」は、何か悪いことが起こったときに胃がキリキリする感覚から、非常に悲しく、心身がボロボロになるような状況を意味します。ちなみに日本語にも「断腸の思い」という表現がありますね。
例
あの映画のラストは胸がえぐられるようで、見ながら何度も泣いた。
おすすめの一曲
ミュージカル『ザ・プロム』の『Changing Lives』:It's ground-breaking, earth-shaking, life-affirming, breath-taking, gut-wrenching…(画期的!世界が震撼!人生が楽しくなる!息を呑む展開!悲痛極まる...!)
「Guts(ガッツ)」をもって英語に取り組もう!
今度、お気に入りの英語の音楽を聴くときには、そこに隠れている英語の豊かな表現を探してみてください。「gut-wrenching」な悲しい曲でも、「hating someone's guts」な怒りに満ちた曲でも、音楽は英語の練習にぴったりの素晴らしい教材です!