Duolingoでは、これまでに、スペイン語コースとフランス語コースが効果的であり、またリーディング・リスニング・スピーキングのスキルアップに役立つという調査結果を紹介してきました。今回は皆さんにとっても関心の高い、英語コースの学習者についての新たな調査結果をお伝えしたいと思います。

本調査は、Duolingoが英語学習者のリーディングとリスニング能力をどの程度伸ばすことができるのかを知るために行われました。その結果、英語コースの初心者向けセクションを修了することで、中級レベルに相当するリーディングとリスニング能力が獲得できることが明らかになりました! また学習者のスコアも、セクションを進むごとに着実に伸びています。

このブログでは、本調査の実施方法と結果、さらにDuolingoを使った英語学習における考察について、詳しく見ていきたいと思います。

リーディングとリスニング能力の測定

本調査は、スペイン語でDuolingo英語コースを学ぶ学習者を対象としました。このコースは、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)に準拠しています。ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)とは、基礎段階の言語使用者(CEFRレベルA1、A2)、自立した言語使用者(B1、B2)、熟達した言語使用者(C1、C2)の各レベル向けに学習目標を定めた、国際言語能力基準です。今回の調査では、A1レベルとA2レベルの学習者を対象にテストを実施しました。A2レベルの学習者は、文章や一般的な表現を理解し、現在形・過去形・未来形を使って、仕事、旅行や趣味、また意見や要求などについて話すことができます。

 CEFRによる6つの言語能力レベルのイラスト。レベルは、A1、A2、B1、B2、C1、C2で表示。各レベルはカラフルな棒グラフで表現され、A1が最も低く、C2が最も高い。A1とA2は 「基礎段階の言語使用者」、B1とB2は「自立した言語使用者」、C1とC2は「熟達した言語使用者」と表示されている。

Duolingoだけでどれだけの学習効果が得られるかに焦点を当てるため、Duolingoで学習する間は、英語の授業や他のアプリ等を利用していない学習者のみを対象としました。また、対象者が学んだことがDuolingoのレッスンによるものであることを明確にするため、Duolingoで学習を始める前に英語を「全く知らなかった」あるいは「ほとんど知らなかった」と答えた学習者を選出しました。これらの基準をもとに、A1の終わりからA2の終わりに相当するセクションを学習中の合計263名を対象に、学習者の言語習熟度を客観的に見ることができる第三者による言語習熟度評価で、リーディングとリスニングのテストを実施しました。

学習者はどれくらいの英語力を身につけたのでしょうか?

Duolingoだけを使って英語を勉強している学習者は、どの程度までリーディングとリスニングのレベルを向上させることができたのでしょうか?調査の結果、DuolingoのA2コンテンツ完了時点で、学習者は中級レベルのリーディングとリスニング能力を獲得していることがわかりました。米国で一般的に使われている習熟度評価尺度(ACTFL)によると、これら学習者の平均スコアは、リーディングが中級の上、リスニングが中級の中でした。ちなみにリーディングはリスニングほど時間的制約がないため、リスニングよりもリーディングの方がスコアが高いのはよくあることです。

コースが進むにつれてスコアは上昇したのでしょうか?

前の段落で述べた通り、A2コンテンツを完了したDuolingoの学習者は、中級レベルのなかでもリーディングとリスニングのスコアが比較的高いことがわかりました。そこで私たちは、次に、コースが進むにつれて学習効果がどのように上がっていくかを検証したいと考えました。学習者は、コースの始めから終わりまで、着実に上達し続けているのでしょうか?

この疑問に答えるため、初級セクション、A1相当セクション、A2相当セクションの異なる進捗状況における学習者のスコアを分析しました。A2完了時のスコアは、リーディング、リスニングともにA1完了時のスコアを大きく上回っています! 特にA2の後半では、Duolingoの基本レベルのコンテンツの学習効果の高さがわかる結果となっています。学習者は、レッスンを受ければ受けるほど、より多くの学習成果を得られるのです。

英語リーディングとリスニングの習熟度を示す棒グラフ。横のX軸には、Duolingoの3つのセクション「 A1完了時」「A2中盤」「A2完了時」が表示されている。縦のY軸はACTFLのレベルとなっており、下3分の1は「初級」、中3分の1は「中級」、上3分の1は「上級」と表示されている。Duolingoの各セクションには、リスニングスコアとリーディングスコアの2つの棒グラフが一組ずつ用意されている。どのセクションでも、リスニングとリーディングのスコアは共に中級の範囲に達しており、リーディングのスコアがリスニングのスコアより高くなっている。A1完了時からA2完了時まで、棒グラフは徐々に高くなり、最後のA2完了時のリーディングの棒グラフは、中級セクションの最も高い部分に到達している。

新しいコース構成はどうなるのでしょうか?

最近Duolingoでは、ホーム画面のデザインを変更し、練習問題に加えて適切なタイミングでの復習問題が学習ルートに組み込まれました。新しいデザインで学習するDuolingoの学習者は、上記の調査に参加した学習者と同じだけの学習成果を示すでしょうか?Duolingoでは、少なくとも同等以上の効果を期待しています。

旧ホーム画面では、コースの各セクションは一連のスキル(下図左のカラフルな円)で構成され、各スキルには5段階のレッスンがあり、各セクションは「チェックポイント」で締めくくられていました。一方、新たなデザイン(下図右:新ホーム画面)では、学習効果が最大となるような順序で各レベルが配置され、内容が学習者の記憶にしっかりと留まるように工夫されています。

Duolingoの旧バージョンのホーム画面と新バージョンのホーム画面を並べて比較した図。左の旧ホーム画面では、カラフルな丸が数列にわたって規則的に配置されている。右の新バージョンのホーム画面では、一列に並んだ小さな丸い円が、学習の道筋を視覚的に表すデザインとなっている。
Duolingoのホーム画面:コース編成が変わり、ホーム画面が新しいデザインに移行しました。左が旧⁠バ⁠ー⁠ジ⁠ョ⁠ンのデザイン、右が新しい学習ルート式のデザインです。

DuolingoのコースコンテンツはCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に準拠しており、スキルの数も新旧2つのバージョンで同じであるため、今回の調査結果は新しいコース構成にも適用できると考えられます。なお、以前は各スキルごとに5つのレベルがありましたが、学習者がクリアする必要があったのは最初のレベルのみでした。そのため、ときには最初のレベルのみをクリアして「レベルアップ」していく学習者もいました!Duolingoの新しい学習ルートの構造は、各スキルを3つのレベルに凝縮し、それぞれのレベルの課題を復習問題やリーディング機能「ストーリー」も一緒に学習ルートに織り込んでいます。その結果、学習者は新しい学習ルートでより多くのコンテンツを学習・復習することになり、学習効果についても同等またはそれ以上が得られると、私たちは信じています。

学習者は素晴らしい進歩を遂げています!

私たちは、初めて英語を学ぶ方々が、Duolingoで進歩を実感してくださることを非常にうれしく思っています!調査報告書の全文はこちらでご覧いただけます。次は、スピーキングとライティングのスキルの学習効果を評価し、近いうちにより高いレベルの学習者についても調査を行う予定です。Duolingoによる、テクノロジーを駆使した効果的に言語教育を行うための最新の方法を、またぜひご覧ください!