「Duolingoへの質問」へようこそ。このコラムでは言語学習者へのアドバイスを紹介します。過去の記事はこちらをご覧ください。

オレンジ色の背景に「Dear Duolingo(Duolingoへの質問)」のロゴ、そしてロゴの上に横たわってノートパソコンを広げるDuolingoのキャラクターのビー。彼女はヨガのポーズのように頭上に足を伸ばしている。
みなさん、こんにちは!James Leow博士です。「Duolingoへの質問」へようこそ。今週は文法全般に関する質問について解説したいと思います。

今週の質問:

Duolingoに質問です。

30年以上前に高校でスペイン語を勉強しました。最近になって、あの頃のスペイン語が懐かしくなり、Duolingoをダウンロードしました。とても楽しく勉強していますが、Duolingoでは昔受けた授業と違い、大量の課題や動詞の活用表が出てくるわけではありません。スペイン語のコースではいつ、文法のレッスンをするのでしょうか?そもそもDuolingoでは、文法を学べるのでしょうか?

Muchas gracias(ありがとうございます)!
MCグラマー

MCグラマーさんにとっては、スペイン語が高校時代の懐かしい思い出💘なんですね。それにしても、すばらしい質問です。一見シンプルに見えるかもしれませんが、実は「文法 」という言葉が何を意味するのかは本当に複雑なのです。これから詳しく説明していきましょう!

文法とは?

基本的に文法とは、言葉の中にあるパターンのことで、例えば単語を組み合わせて長い文章を作るためのルールなどを指します。実際は単語だけでなく、語尾・動詞の活用・接頭辞・助詞など、単語の一部も文法です。言葉を組み合わせたり、語尾を変化させたりするだけで文法のお世話になっていることになります。

文法は、表現したい内容の大小に関わらず必要です。文や段落を作るのにも、文法が必要です。たとえ「hablo(私は話す)」のような単語1個の場合でも、原形「hablar(話す)」の語尾「-ar」を「-o」に変えて「hablo(私は話す)」にすることも、文法にあたります。またはこの絵文字「👟」を見て「灰色の靴」(スペイン語を学習中の人ならun zapato gris)と言うだけでも、すでに次のような文法の知識を使っていることになります。

  • 「shoe(靴)」のような単語の前に「a」と「an」のどちらを使うか
  • 「shoe」のような単語に「a」を付ける時、前に付けるのか、後に付けるのか、真ん中に付けるのか(すべての言語が同じではありません)
  • どこに形容詞を付けるか(英語では名詞の前に、スペイン語では後に付けますね)
  • 「a gray shoe(灰色の靴)」と声に出して読む際に、どこを強調して読めばよいか

私としては、文法とは自分の言いたいことを伝えるためのルール(あるいはパターン)だと考えたいです。文法はあくまで、私たちを助けてくれるものなんですね!多くの人が、文法とは厳格で確立されたルールであり、文法を守らないのは悪いことだと考えています。たとえば、学校の授業では英語の文章は前置詞で終わらせてはいけないというルールを学ぶかもしれませんが、実は私たち英語話者は、いつも前置詞で終わらせています。言語を学ぶなら、人々が実際にどう使っているかを知ることこそ、重要ですね。

言語を学習する時は細かいルールで頭がパニックになりがちですが、あまり考えすぎず、自分の言いたいことに集中することをおすすめします。ドイツ語の所有代名詞スペイン語のporとparaの違いを勉強することになって、なぜ文法のような面倒なものができたのだろうか、と自問自答したことがあるのではないでしょうか😬

その理由は、ほとんどが「単にそうだから」です。文法はおおむね、多くの情報を端的にまとめて、複雑なことを的確に伝えるのに役立ちます。ただし時には、過去の文法上の名残りが当初の意味を失ったのにもかかわらず残っていることがあります。

Duolingoでは文法は学べますか?

簡潔に言うならば答えは「YES」です!😍

なぜなら、単語や単語の一部を組み合わせるときや、そして単語を選択するとき(たとえばスペイン語のserとestarの使い分け)自体が、文法というルールを利用し、文法を学ぶことにほかならないからです。

  • 単語を並べて文章にする?――文法です。
  • 空欄に当てはまる単語を選ぶ?――文法です。
  • 単語が持つ文法上の性別を判断し、elかlaを選ぶ?――文法です。
  • Duolingoのストーリーの文章を次々と読んでいく?――文法です。
  • 単語と語尾と活用で埋め尽くされた文章を復唱する?――どれも文法、文法、文法です!

ここでは、私たちが毎回のレッスンでこっそりと使っている文法の例をいくつか紹介します。

問題 英文法での考え方
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  • 「Let’s」:省略形の作り方
  • 「have」:動詞の原形が使われるのはどんな場合か
  • 「Let’s」+「have」:1つの文章に2個以上の動詞を使用する場合の語順
  • 「tomorrow(明日)」:未来の行動を表現する方法
  • 「a barbecue」:「a」とともに不定名詞を指し示す方法
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  • 疑問文をつくる場合の語順
  • 「can」:助動詞の使い方
  • 「can」+「use」:助動詞+動詞を使う場合の疑問文の作り方
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  • 名詞に形容詞を付ける場合の語順
  • 「an」:「a」ではなく「an」を使うのはどのような場合か
  • 「have」:不規則動詞「have」の活用形

英語は日本語と完全に系統の異なる言葉のため、日本語話者が英語を学ぶ場合、文法の細かい決まりごとを知る必要があります。一方、スペイン語英語ドイツ語の間には密接な関連があるので、英語話者は、スペイン語やドイツ語のルールをなんとなく理解できてしまうこともあります。

文法規則の一覧を入手することはできないのでしょうか?

学習者が「文法」という言葉を使うときには、レッスンやワークシート、動詞の活用表などによる具体的な説明を期待します。特に大人の学習者は、文法について細かく丁寧な説明を受けたがりますが、そのようなことはしなくても十分に学習成果を出すことができます。

動詞の活用語尾を暗唱する(「スペイン語の-ar動詞は-o, -as, -a, -amos, -an」)ようなルールへのこだわりが、実際にはとっさに反応する能力を損ない、理解を妨げてしまう場合があります。あなたが本当にするべきことは、言語と文法パターンに十分に触れ、何が正しいか、どれとどれが組み合わされるのかを、直感的に理解することです。Duolingoのコースでも、細かく書かれたルールを見ることでパターンをより理解しやすくなることもあります。しかし、それはあくまで学習の手助けでしかありません。ルールの理論を徹底するのも、ときには役に立ったり楽しかったりするかもしれませんが、文法はそもそも、言語にひっそりと寄り添うものです。

Duolingoで文法を教える際には、「暗黙的学習」と「明示的学習」を組み合わせてコースに組み込んでいます。

  • 暗黙的学習(無意識的な学び):どの練習問題でも、生きた文法に触れています。より多くの例を見れば見るほど、パターンに気づき実践する機会が増え、それが最高の学習方法となります。Duolingoのポッドキャストを聞いたり、お気に入りのプレイリストを聴いたり、学習中の言語のドラマシリーズを夢中で見たりしながら、気づかないうちに文法レッスンを受けることができます。
  • 明示的学習(意識的な学び):Duolingoガイドブック、Duolingoの一部のコース(英語でスペイン語を学ぶコースなど、学習者数の多いコース)における文法集中レッスンの冒頭、そしてもちろんこのDuolingoブログでも、文法について細かく説明しています。

意外に思われるかもしれませんが、大人は直接教えられなくても、これらのパターンを学ぶことができるのです。あなたが苦労しないで学んでいる他のパターンを考えてみてください。プレイリストを何度も聴いているうちに、次の曲が始まる前に鼻歌を歌い始めたことはありませんか?脳は、このように学習するようにできているのです。

いつでも文法の時間!

MCグラマーさん、今度レッスンをするとき、あるいはお母さんに電話をするとき、TikTokにコメントを書くとき、あなたが無意識のうちに吸収してきた言葉のパターンを考えてみてください!そのノウハウが文法であり、意識しないで学んだものであれ、説明や図表で意識的に学んだものであれ、コミュニケーションのたびに使っているものなのです。

その他言語や学習についての質問は、dearduolingo@duolingo.comまでご連絡ください。