日本にとって2020年は例年通り、いえ、例年以上に期待に満ちた1年となるはずでした。
3月中旬ごろ、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症を世界的な流行病と宣言し、自宅待機のガイドラインが発表されると、世界は一変しました。

全国の学校、オフィス、企業が閉鎖され、リモート化が急速に進み始めたなか、日本中の人は突然、新たなスキル習得や勉強を始める「時間」が生まれたことに気がつきました。

自宅で料理をつくったり、どうぶつの森で遊んだり、Netflixで韓国ドラマを見たり。多くの人がこの時間を利用して新しい言語を学び始めました。

WHOが新型コロナウイルス感染症の世界的大流行を宣言した2020年3月11日から4月末までの間に、2019年の同時期と比較して、日本ではDuolingoの学習者が65%増加しました。

2020 Duolingo 言語レポート の一環として、この記事では、今年日本で見られた最も重要な言語学習のトレンドを、いくつか取り上げていきます。

日本のユーザーは世界で2番目に学習熱心 #2

言語を学ぶ上で、学習に投入する時間が大事なことは言うまでもありません。レッスン数や学習の連続記録の長さなど、「学習熱心でいること」「勤勉でいること」は言語習得においてとても重要です。
一般的に「勤勉」と言われる日本の学習者は、世界の学習者と比べてどのくらい熱心に学習しているのでしょうか?

嬉しいことに日本の学習者は、最も「熱心な学習者」として世界2位にランクインしました。学習熱心とは、平均的なレッスン受講完了数を指します。学習者の平均値が世界で2番目に高かったのが、日本の学習者でした。
DLR_Japan_Top5_Hardest_4-2

勤勉な国民といわれるドイツと日本がトップに入っていることは、なんとなく納得できる結果ではないでしょうか。

さて、学習熱心な日本の学習者は、どのような言語を学んでいるのでしょうか?今回の調査で、日本の学習者は英語(65%)だけでなく、意外にも、日本語(9%)、中国語(7%)、スペイン語などの言語を学んでいることがわかりました。
DLR_Japan_Top5_Popular_2-1

日本の学習者の特徴のひとつに「新しいコースが大好き」なことが挙げられます。
実際に2019年に開設された中国語コースが、「最も急速に学習者が増えている言語」としてトップを飾りました。

一方で、2位に韓国語がランクインしていることも見逃せません。日本語話者向けのコースがまだ開設されていないにも関わらず、韓国語の学習者が急速に増えていることは、昨今のK-Popや韓国ドラマなどの盛り上がりと無関係ではないはずです。
日本語話者向け韓国語コースのローンチも、近いかもしれません...?
DLR_Japan_Top5_Fastest-JP_3-1

見事世界2位に輝いた「学習熱心な学習者」ランキングですが、都道府県別に見るとどうでしょうか?

調査では東京、富山、山形、北海道、石川がトップ5に入りました。これらの都道府県が、最も多くのレッスン数(平均)を修了したことになります。

学習熱心な都道府県トップ5

  1. 東京都
  2. 富山県
  3. 山形県
  4. 北海道
  5. 石川県

もうひとつ嬉しいニュースがあります。実は日本の学習者は「勤勉な学習者ランキング」でも世界2位にランクインしています。
「勤勉な学習者」は「連続レッスン日数」、つまり連続記録の平均値の長さを指しています。こちらの都道県別ランキングも見てみましょう。

勤勉な都道府県トップ5

  1. 青森県
  2. 富山県
  3. 大分県
  4. 鳥取県
  5. 徳島県

「学習熱心な学習者」との違いが気になりますね。
言語学習においては、短期間で大量に詰め込むよりも、長期間にわたって学習していく方が効果的と言われています。

例えば1位の青森は「学習熱心な学習者」ランキングには入っていません。つまり、青森はレッスン完了数は多くないものの、長期間にわたってレッスンを継続していることがわかります。また、両方にランクインしている富山は、レッスン数と連続記録の両方にコミットしていることがわかります。

みなさんの都道府県はランクインしていましたか?

新型コロナがオンライン言語学習のトレンドを強化:新規ユーザー数は65%増

3月11日(WHOが新型コロナウイルス感染症の世界的大流行を公式に宣言した日)から2020年4月末までの間に、2019年の同時期と比較して、日本では新規学習者が65%増加しました。
DLR_Japan_Chart_Line_JA_2-1

学習者のモチベーションや目的にもいくつかの大きな変化が見られました。これは現在進行中の新型コロナウイルスの世界的大流行に直接関連していると考えられます。

まず注目すべきは、この春、2019年春と比較して、日本で「学校」目的で学習している人が3.4%増加したことです。これは、ほとんどの学校が3月から休校になり、リモート環境に移行しつつある中で、教師や学生が外国語カリキュラムの補足として以前よりもさらにDuolingoを使用していることが要因だと考えられます。
DLR_Japan_Illustration_5-1

学習動機としての「学校」の増加は、日本におけるもう一つの傾向とも相関しています。日本の学習者は実際に少し若返ったのです!2019年、日本の学習者の年齢の中央値は31歳でしたが、今年は28歳になっています。これは世界各国と比べても特に大きな変化です。他の国々では1歳程度の変化でしたが、日本は3歳も変化しているのです。

一方、学習動機としての「旅行」は9.2%減少しています。これはパンデミックの影響で国内外の旅行に大きな支障が出ているためと推測できます。こちらも、世界各国と比べても、最も大きな変化のひとつです。

興味深いことに、世界で「文化目的」の学習が減少する中、日本では逆に4.7%の増加となりました。これは屋内でNetflixなどのストリーミングサービスを見る機会が増えた分、「映画やドラマを原語で見たい」というニーズが増えた可能性が考えられます。
DLR_Japan_Chart_Bar_Total_1-1

日本語が世界で最も人気の言語6位にランクイン!

日本語は世界中でも人気の言語で、いまや5位のイタリア語を凌ぐ勢いです。

韓国語と並んで、日本語の成長ぶりは著しいです。2019年には、韓国語と日本語は1つの国で最も人気の言語でしたが(それもすごいことですが)、2020年では韓国語は4つの国で1位となり、日本語は3つの国で1位にランクインしました。

DLR_Japan_Illustration_6-1

DLR_Japan_Chart_Pie_JA_3-1

このような背景もあり、日本語は「世界で最も急速に成長している言語」としても3位にランクインしています。

DLR_Japan_Top5_Fastest_1-2

以上、今年日本で見られた言語学習のトレンドレポートでした。

データについて
2020版Duolingo言語レポート:日本のレポートには、2019年10月1日から2020年9月30日までの間にDuolingoで言語を学習し、日本でレッスンを完了した学習者の情報が含まれています。すべてのデータは、学習者のプライバシーを確保するため、都道府県別または言語別に集計されています。