(注:本記事は2020年10 月に掲載された英語版を日本語訳し編集したものであり、一部に古い情報が含まれています。)

「良い」先生と「素晴らしい」先生の違いは何でしょう?おそらく「良い」先生は、教材の内容を熟知していて、それを生徒にきちんと説明できる先生でしょう。一方で「素晴らしい」先生は、生徒が何をどこまで理解しているかを把握し、次に何を教えれば良いかを分かっている先生ではないでしょうか。

学習者一人ひとりに合わせて「パーソナライズ」されたレッスン計画で学ぶことには、様々な学習上のメリットがあります。その一例として、学習意欲が持続し、学び続けられるようになることが挙げられます。また、学習済みの内容を適切なタイミングで復習することにより、記憶が定着しやすくなります。そして一番のポイントは、既にわかっている内容を何回も学習したり、まだ理解できないレベルの内容に無理について行ったりする必要がなく、時間を有効に使えるという点です。

Duolingoでは、学習者の学習状況に関する情報を集めつつ、その情報を元に、より優れた学習内容を提供できる機械学習モデルを開発しました。Duolingoではこの機械学習モデルを、Duolingoキャラクターのフクロウにちなんで「バードブレイン」(鳥の頭脳)と名付けています。今回のブログでは、バードブレインの開発に至った経緯とその機能についてお話しします。

バードブレイン

バードブレインは、Duolingo学習者の理解度と、Duolingoレッスンで使用する多様な言語教材の難易度のパターンを継続的に学習しています。バードブレインはこれらの情報を組み合わせ、学習者が出題された練習問題に正解できるかどうかを、データに基づき推測します。これは、学習者が特定の言葉をどの程度理解しているかを分析してくれるもう一つのパーソナライゼーション(個人最適化)システムを補完するものです。バードブレインは、学習者の学習データから得られた情報を言語学習のあらゆる側面に活かし、アプリをより優れたものとする役目を果たしています。

「バードブレインとは?」の図 左側に「練習問題」と題したアプリのレッスンのイラスト、右側には「学習者」と題したザリのイラスト、中央には中抜きの脳が見えるふくろうのDuoのイラスト、そして下部に「それぞれの学習者に合わせた難易度」が配されている。

バードブレインは、Duolingoの学習者が練習問題を多くこなせばこなすほど、学習者の習熟度や、練習問題がどの程度難しかったかを学習していきます。では、バードブレインが把握したこれらの情報は、どのように活用され、どのように学習の効率アップにつながっているのでしょうか?Duolingoにはもともとセッション・ジェネレーターと呼ばれるエンジンがあり、候補となる大量の練習問題のデータの中から、高度なアルゴリズムを用いてレッスンを選択しています。このセッション・ジェネレーターは、バードブレインが開発されたおかげで、大量の練習問題の候補の中から、学習者に最適な難易度の問題を選び出すのに必要な情報を得ることができるようになりました。

魔法の帽子と杖をもったフクロウのDuoのイラスト。帽子の中から星やキラキラとともにDuolingoのレッスンが映し出されたスマートフォンが飛び出し、Duoはそれを見ている。

バードブレインは効果的

バードブレインの導入によって、私たちは学習者の学習レベルに合わせたレッスンを提供できるようになりました。つまり、学習体験が大幅に改善されたのです!バードブレインの効果は、学習データ上でも確認されています。Duolingoでは最高品質の教材を確実に届けるため、新機能の公開前には必ずA/Bテストを行っています。今回のバードブレインを用いたA/Bテストの結果では、バードブレインから得た情報を用いてレッスンを適切な難易度で組み立てることにより、一貫して学習効果が上がることが明らかになりました。これは直感的にも、理にかなっています。学習教材が難しすぎれば、前提となる知識がないために理解できず、イライラがつのるだけでしょう。一方、教材が簡単すぎれば、既にわかっていることを繰り返すことになります。

バードブレインの活用は学習内容の改善だけでなく、学習意欲の向上にもつながっています。なぜなら、学習者は自分の学習結果に対し満足感を得やすくなり、より頻繁にレッスンに取り組むようになるからです。

バードブレインによって、学習体験はさらに向上していきます!

一人ひとりに合わせた学習体験は、つまり、より良い体験を意味します。バードブレインは、すでに学習者が無理なく解答できるトピックは自動的に避けてくれるため、やりがいのある問題に集中することができます。また、バードブレインを使って組み立てられたレッスンを受けた学習者には、より多くの問題に取り組み、さらに毎日コツコツと学習を継続する傾向があることも明らかになっています。これこそが私たちDuolingoが求めるゴールです!言語学習の最大の難関は、継続することであり、学習者のみなさんが日々進歩を感じられるよう、私たちも引き続きテクノロジーの開発やシステムの改良に注力していきます。