学習者にとって重要で、しかも文型で混乱しがちな課題の一つに、「WH」疑問文があります。この疑問文は、疑問詞(英語では「WH」で始まるものがほとんどのため、以降「WHワード」と呼ぶことにします)を使ってより具体的な情報を得るためのものです。幸い、この種の疑問文の語順には決まったルールがあり、それを守れば正しい文章を作れます!
まずはじめに知っておかなければならないのは、WHワードを正しく選択することです。
(注:「How」だけは「WH」で始まっていませんが、これもWHワードとして扱います。)
英語の疑問詞 =WHワード |
何に対して使うか | 日本語訳 |
---|---|---|
who | 人、または擬人化された動物(ペットなど) | 誰 |
what | 事、物、概念または擬人化されていない動物など | 何 |
where | 場所、目的地、出発地など | どこ |
when | 時間、日、月、年など | いつ |
why | 理由、原因、言い訳など | なぜ |
how | 方法、手法、やり方など | どのように、どうやって |
WH疑問文は、「How many」(例:How many books=何冊の本)や「Which」(例:Which house=どの家)」のような表現で始まることもあります。
今回の記事は、あらゆるパターンのWH疑問文を正しく作れるようにするための、完全ガイドです!
目次
WH疑問文:まずはじめに
英語でWH疑問文を作るには、未知の情報と、その情報を指すWHワードが主語にあたるのか、主語以外のものにあたるのかを知る必要があります。未知の情報が主語の場合の文型は1つだけですが、未知の情報が主語以外である場合の文型は2種類となります。
これを見分ける方法の1つは、質問に対し、その答えが入った完全な例文を想像してみることです。この答えが動詞や助動詞よりも前にあれば、それは主語です。
- [Sara] came to the party after I left (サラは私が帰った後でパーティーに来た)
- この例文で答えに相当するもの:サラ
- 答えを引き出すためのWHワード:Who
- 文中で答えがある位置:「came」という動詞の前 → 主語
- We are going [to Japan] for our next vacation(私たちは、次の休暇に日本へ行きます)
- この例文で答えに相当するもの:日本へ
- 答えを引き出すためのWHワード:Where
- 文中で答えがある位置:「are going」という動詞の後 → 主語ではない
未知の情報が主語ではない場合は、文中にどのような動詞・助動詞が含まれているかも考える必要があります。ただしラッキーなことに、この2つのカテゴリーの分け方は、Yes/No疑問文の場合と全く同じです!
- カテゴリー1:be動詞の活用形(amやwereなど)、または助動詞(shouldやcanなどの動詞にニュアンスを付加する助動詞、hasやhadなどの動詞の時制を作る助動詞)
- カテゴリー2:その他の動詞
WHワードが主語にあたる場合
未知の情報(つまりWHワード)が文の主語なのであれば、WHワードを文頭に置く。それだけで完了です!
WHワード (主語) |
動詞 | 文の残りの部分 | 日本語訳 |
---|---|---|---|
Who | came | to the party after I left | 私が帰った後で、誰がパーティーに来たの? |
What | is | on the table | テーブルの上に何があるんですか? |
What | is | burning in the oven | オーブンの中で焦げているのは何? |
Who | saw | Erica at the movies | 映画館でエリカを見たのは誰? |
WHワードが主語以外にあたる場合
未知の情報が主語ではない場合、事態はやや面倒です。また、be動詞、助動詞およびその他の動詞を見分けるために、品詞についても理解しておく必要があります。
カテゴリー1:疑問文にbe動詞または助動詞を使う場合
未知の情報が主語ではなく、be動詞または助動詞を使った文章の中にある場合、
- 質問の先頭にWHワードを置く。
- そのWHワードの直後に、動詞または助動詞を置く。
ここでは、質問の答えを見つけることから始めて、段階を踏んで作業することもできます。
We are going【場所】 for our next vacation | You can't come to my party【理由】 | The doctor's appointment is【日付/時間】 | |
---|---|---|---|
1. 該当するWHワードを文頭に置く | Where we |
Why you |
When the doctor's appointment |
2. 動詞または助動詞を、WHワードの直後に移動する | Where are we __ going __ for our next vacation | Why can't you __ come to my party __ | When is the doctor's appointment __ __ |
完成したWH疑問文 | Where are we going for our next vacation? (次の休暇にはどこへ行こうか?) |
Why can't you come to my party? (なぜ、君は僕のパーティーに来れなかったの?) |
When is the doctor's appointment? (お医者さんの診療予約はいつ?) |
また、次の公式でWH疑問文の最終形を覚えるのも良いでしょう。【公式】=(WHワード)+(be動詞または助動詞)+(主語)+(文の残りの部分)
WHワード | be動詞/ 助動詞 |
主語 | 文の残りの部分 | 日本語訳 |
---|---|---|---|---|
Who | is | their sister | interviewing | 彼らの姉妹は、誰にインタビューしているんだろう? |
When | should | the flight to Arizona | begin boarding | アリゾナ行きのフライトは、いつ搭乗開始になりますか? |
How many desserts | will | you | order | デザートはいくつご注文になりますか? |
What | had | the children | been wishing for | 子ども達は、何をお願いしていたんだろう? |
カテゴリー2:その他の動詞のWH疑問文
未知の情報が主語ではなく、かつ、文章の動詞がbe動詞でも助動詞でもない場合は、以下の3つの変更を加えます。
- 「WH」を疑問文の最初に置く。
- 「do」の活用形を加える(現在形は「do」または「does」、過去形は「did」)
- 動詞を原形に変える
現在形の「do」と「does」、そして過去形の「did」です。疑問文の場合、この「do」は動詞の「~する」ではなく、「今から質問をするので注目して!」という一種の合図です。
カテゴリー2の疑問文では、動詞の原形も知っておく必要があります。英語の動詞の原形とは、辞書の項目として載っている形で、たとえば「walks」や「walked」の原形は「walk」です。
文章にどのように変更を加えるか、順を追って説明しましょう。
You want to buy 【何か】at the store tomorrow | He wrote 3 books about 【何について】 | She saw【誰か】at the movies | |
---|---|---|---|
1. WHワードを文頭に置く | What you |
What he |
Who she |
2. 続けて「do」の活用形を置く | What do you |
What did he |
Who did she |
3. 動詞を原形に戻す | What do you want to buy __ at the store tomorrow | What did he write 3 books about __ | Who did she see __ at the movies |
完成したWH疑問文 | What do you want to buy at the store tomorrow? (明日、お店で何を買いたい?) |
What did he write 3 books about? (彼は、何について3冊の本を書いたのか?) |
Who did she see at the movies? (彼女は、誰を映画館で見たんだろう?) |
そして、「語順の公式」は、以下の通りとなります。
【公式】=(WHワード)+(doの活用形)+(主語)+(動詞の原形)+(文の残りの部分)
WHワード | 「do」の活用形 | 主語 | 動詞の 原形 |
文章の残りの部分 | 日本語訳 |
---|---|---|---|---|---|
Where | did | those cookies | come | from | あのクッキーは、どこから来たの? |
How | does | your cat | know | where the food is | 君の猫はどうやって餌のありかを知るんだい? |
When | do | the owls | visit | our home | フクロウたちが我が家を訪れるのはいつ? |
Why | did | the rain | have | to start today | なぜ、よりによって今日から雨が降り始めたんだろう? |
WH疑問文を自在に使えれば、どんな疑問も即解決!
WH疑問文は、学習者のレベルを問わず、新しい街で休暇を過ごしているときでも、外国で大学の授業を受けているときでも、必要な情報を得るのに使う文法です。色々なパターンの「語順の公式」を練習しておけば、英語のWH疑問文がスラスラと口から出るようになりますよ!
英語のWH疑問文の例文
WHワードが主語にあたる場合
- Who can help me make dinner? (誰が夕食を作るのを手伝ってくれるの?)
- What is making all that noise? (何があの騒音を出しているんだ?)
- Who has never been skydiving? (スカイダイビングをしたことがない人はいる?)
- What happened to these trees? (この木々に何が起こったのか?)
- Who runs faster than you? (誰が君より早く走れるって?)
WHワードが主語ではない場合
be動詞または助動詞を使った文の場合
- Why is the cat hungry again? (その猫がまた腹ペコになっているのはなぜ?)
- When should you receive the answer? (あなたが返事を受け取るのはいつになりそうですか?)
- How can you eat so many fries?! (よくそんなに大量のフライドポテトを食べれるね?!)
- Where have you been playing chess with Sarah? (君がサラとチェスをしていた場所は?)
- Who are you looking for? (誰をお探しですか?)
その他の動詞を使った文の場合
- Who did you give the flowers to? (誰にその花をあげたの?)
- What does this graph tell us about the data? (このグラフはデータについて何を物語っているのでしょうか?)
- Where do the employees go for lunch? (従業員はどこで昼食をとるのですか?)
- When did our parents become cool? (いつから両親はクールになったのだろう?)
- Why does your roommate wake up so early? (あなたのルームメイトはなぜそんなに早く起きるのですか?)