2024年版Duolingo Language Reportでは、世界中で数億人を超えるDuolingo学習者からのデータに基づき、最新の言語学習状況や学習者の動向を紹介します。Duolingoは世界No.1のダウンロード数を誇る教育アプリで、40以上の言語、数学、音楽にも対応する、100以上のコースがすべて無料で利用できます。世界中の学習者がどの言語を学びたいのか、また学習者の関心が時間や地域によってどのように変化するのかについて、私たち独自の知見をこのレポートでお届けします。過去の傾向については2020年、2021年、2022年および2023年のレポートをご覧ください。
私たちはAI革命の真っ只中にいます。 スマートデバイスから、空港での顔認識、ChatGPTを使ったメールや旅行日程の作成まで、新しいテクノロジーは私たちの日常生活を変えつつあります。その中でDuolingoは、12年以上にわたり、テクノロジーを活用して学習をより身近なものにしてきました!そしてこのような急激な進化にもかかわらず、変わらないことがひとつあります。それは、人が言語を学ぶのは、互いに交流し、新たなチャンスをつかむためであるということです。
携帯電話のボタンをクリックするだけで、言葉や、さらには画像さえ翻訳してしまうようなテクノロジーがあふれる世界で外国語を学ぶことは、DVDをレンタルしたり、筆ペンを使って年賀状を書いたりするような、時代遅れなことなのかもしれません。それでも語学学習の人気は衰えず、世界中の人々が他の国の言葉でコミュニケーションできることに価値を見出しているだけでなく、その数は増え続けています。今年、Duolingoがこれまでの英語コースをバージョンアップして上級学習者を対象とした新しい英語コースを導入したのは、英語の需要がますます高まっているためです。
それでは世界の語学学習者について、2024年版最新動向をご紹介しましょう。
2024年版 言語学習ハイライト
世界で英語学習ブームが拡大中
2024年、英語は「世界で最も人気のある言語」に返り咲きました。英語が1位の座を獲得した国の数は過去最高となり、昨年より10%以上増えて135か国となりました。また英語は、2023年に1位だったすべての国で1位を維持し、7か国(アルバニア、エリトリア、イラン、マレーシア、モナコ、モンゴル、ルワンダ)で2位から1位になりました。これに加えて6か国(クロアチア、エチオピア、キリバス、マラウイ、ミャンマー、スリランカ)で、2つ以上順位を上げて1位となりました。
Duolingoは20か国語以上で英語コースを提供しており、多くの国では、学習者は母語から英語を学んで(たとえばフランスの学習者であれば、フランス語話者向けの英語コースを利用して)います。しかし、アプリが対応していない言語の話者は、Duolingoで直接的に英語を学ぶ手段がありませんでした。そのためDuolingoは今年、「英語で英語を学ぶ」上級学習者向けの新しいコースを導入し、学習者の母語を問わずに学習できるようなコンテンツを作りました。この新しい英語だけを使うコースは、中国、コロンビア、メキシコ、米国のユーザーが履修する英語コースの中で、2番目に人気のあるコースとなっています。
英語学習者は自分を向上させるために学習する
人々が英語を学ぶ理由はすでに明らかでしょう。世界の多くの地域で、英語力は、勉強においても仕事においても有利な機会を得ることに直結します。英語学習者の動機について調べてみると、意外なことに、DuolingoでNo.2とNo.3の地位を占めるスペイン語とフランス語の学習者とは、完全に傾向が異なります。
人々が英語を学ぶ理由のトップは、全世界でほぼ例外なく「学力アップ・試験対策」となっています。ただし韓国はその珍しい例外で、 韓国人の3分の1が「人々との交流」のために英語を学び、学業は2位(23%)となっています。また、米国でも「人々との交流」が英語を学ぶ理由のトップとなっています(35%)。
世界中で英語の重要性が高まりつつあることは、英語検定の需要が伸びていることからも明らかです。たとえばDuolingo English Testは、国や自治体の数では230以上、アクセスロケーションで言えば世界各地の7万を超える場所からの受験がありました。本テストの受験者の半数以上が国内外の英語の大学課程への入学のために、さらに31%は大学院入学のために英語力の証明を必要としているとのことです。受験者の多い国を見てみると、1位はインドで、これに中国、カナダ、ブラジル、インドネシアが続いており、これによっても英語が世界的に重要視されていることがわかります。
東アジア言語の人気ランキングは流動的
少なくとも2020年以降、日本語、韓国語、中国語は世界人気ランキングでトップ10に入っていますが、その順位はいまだ流動的です。昨年は韓国語がイタリア語を抜いて6位に入ったものの、2024年にはイタリア語が6位を奪回し、韓国語を7位に押し下げました。一方、中国語は去年の9位から8位に順位を上げ、日本語は2021年から常に5位で安定しています。
日本はますます真面目に学習
平均学習時間をもとに決定する「最も真面目に学習している国」では、順位が入れ替わりました。2024年、日本はベラルーシを抜いて1位となり、ベラルーシは4位に降格。ハンガリーは3位、ドイツは順位を上げ、現在5位を占めています。また、日本、チェコ共和国、ハンガリーは、英語学習者が最も多い国としても上位にランクインしています。
フィンランドが多言語でトップを挽回
Duolingoアプリで3か国語以上を学ぶ学習者が最も多い国では、これまでフィンランド、ドイツ、イギリスが1位を争ってきました。今年はフィンランドが1位に返り咲き、イギリスは2位をキープ、エストニアが3位に浮上し、ドイツは4位に下落。オーストラリアは5位にランクインしました。
一部の人にとって、語学学習は娯楽またはゲーム
英語学習者に真剣な目標を持つ傾向がある一方で、余暇や娯楽のために言語を学ぶ学習者も、世界には多くいます。たとえば中国で2番目に人気のある言語は日本語で、32%の学習者が「楽しそうだから」学んでいると答えています。同様に日本の学習者の29%が、日本で2番目に人気の韓国語を「楽しそうだから」という理由で選んでいます。またアルゼンチンでは、2024年、ポルトガル語が初めてイタリア語を抜いて2位になりましたが、隣国ブラジルの言語を勉強する主な動機は「海外旅行の準備(22%)」でした。アルゼンチンの学習者にとって重要なのはむしろ休暇のほうかもしれませんね。
2024年 世界のトレンド概要
データについて
2024年版Duolingo Language Reportには、2022年10月1日から2023年9月30日の間にDuolingoで言語を学習した学習者の情報が含まれています。データは、学習者のプライバシー保護の観点より国別または言語別に集計されました。国別集計は、こちらに概説されている国際的に認知された独立した自治体に基づいています。対象となった国と言語の全リストはこちらでご確認いただけます。年齢と学習の動機に関するデータは自己申告であり、13歳未満の学習者はすべての分析から除外されています。また、学習者のプライバシー保護の観点から、Duolingo学習者数が5,000人未満の国はランキングより除外しています。