中~上級の語学学習者の皆さんに質問です。習得の過程でスランプに陥ったことはありますか?実はどんな言語でも、「基礎は一通りマスターしたが、その後、進歩を実感できない...」と悩む学習者は非常に多いのです。このようなスランプはよくあることで、言語の教育者たちからは「中級プラトー(中級の停滞期)」と呼ばれています!

とはいえ、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)の初級であるA1~A2レベルまで基礎を固めた後の学習は、具体的に何をすれば良いのでしょうか?貴重な学習の時間は、停滞ではなく進歩のために使いたいですよね。

今回のブログでは、語学学習でスランプに陥る5つの理由と、目標に向かって進み続けるための実践的なアイデアをご紹介します!

理⁠由⁠そ⁠の⁠1⁠:よ⁠り高⁠い目⁠⁠標を再⁠設⁠定する必⁠要がある

語学力を向上させたいなら、なんとなく「上達したい」という気持ちではなく、明確かつ具体的な目標が必要です!

💡
学習中の言語を使って「何が」できるようになりたいのかを考え、その「何か」に、実際に取り組んでみましょう。

学習のアイデア

  • 時間を取り、自分は学習中の言語を使って「何を」したいのか、じっくりと考える。そして「経済に関する記事を英語で読んで理解したい」「フランス語のレシピのビデオを見て料理を作りたい」などの具体的な目標を書き出してみてください。

理⁠由⁠2⁠⁠:い⁠つ⁠も同⁠じ語⁠彙や表⁠現に頼りがちになっている

中級以上の皆さんは、特定の時制、言い回し、文体には既に慣れていることでしょう。でも、知っている表現だけでその場を乗り切る習慣がついているかもしれません。聞き手・目的・状況にあわせて同一の内容を色々な方法で表現できるようになると、語学力は大幅にレベルアップします。

💡
同じ内容を、より丁寧な表現、より砕けた表現、より長い文、より短い文...と言った具合に、さまざまな方法で言い表す練習をしましょう。

学習のアイデア

  • 学習中の言語で書かれた文章を読み、それを自分の言葉で要約する。もちろん、ビデオやポッドキャストでもかまいません。例えば、Duolingoストーリーを1つ選び、その会話の内容を要約してみてはどうでしょうか?
  • 2人のネイティブスピーカーが同じトピックについて話すのを聞き、人によってどのように表現が変わるかを観察する。例えば美術史に興味があるのなら、美術史に関するTikTokの投稿と、大学教授のYouTube講義とを比較してみてください。特に、語彙や文法の違いに注目しましょう!
  • 基本的な文章を選び、同じ意味のままで、できるだけ沢山の方法で書き換えるエクササイズをする。以下は、同じ内容を複数の方法で表現した例です。参考にしてみてください。
      • Oscar and Bea are walking to the store right now.(オスカーとビーは、今、歩いて店に向かっている。)
      • At the moment, Oscar and Bea are on the way to the supermarket on foot.(今現在、オスカーとビーは、徒歩でスーパーマーケットに向かう途中だ。)
      • Bea joined Oscar on his walk to the store, and they’re still on the way there.(ビーは歩いて店に向かうオスカーに合流し、彼らは今も店に向かう途中だ。)
      • Currently, Oscar is with Bea walking to the store.(現在、オスカーはビーと一緒に歩いて店に向かっている。)

理⁠由⁠そ⁠の⁠3⁠:よ⁠り実⁠践⁠的⁠な教⁠材を使う時⁠期が来ている

学習に行き詰まりを感じているとしたら、教材として、現実世界に直結したコンテンツを取り入れてみるといいかもしれません。楽しく取り組むことができ、また、人々が実際に使っているリアルな言葉に触れることができます!

💡
学習用教材ではないテキストや音声を使い、より実践的な練習をしましょう。

学習のアイデア

  • お気に入りの海外テレビ番組を吹き替えなしで視聴し、これまで知らなかった言い回しを聞き取ったら、ノートに書き留める。すべてを理解しようと必死になる必要はありません。1回につき1~2個でも十分です!
  • 学習中の言語の曲を聴くDuolingoのSpotifyプレイリストもぜひ活用してください!
  • 普段は母国語で行っている日常の作業を、学習中の言語に切り替える。例えばスポーツ観戦する、ちょっとした疑問についてインターネット検索する、芸能ニュースを読むなど。
  • ソーシャルメディア上に、学習中の言語で投稿するための専用アカウントを作る。また、その言語で投稿しているインフルエンサーやミームアカウントが気になったら、積極的に交流してみましょう!

理⁠由⁠そ⁠の⁠4⁠:「⁠話⁠が⁠通⁠じ⁠る⁠」レ⁠ベ⁠ルに達してしまった

これは一見、問題ではないように見えますが、停滞の原因ともなります!このレベルになると、間違いがあったり表現がちょっと変だったりしても、コミュニケーションは成立してしまいます。それだけに何をどう直せばいいのか?と途方に暮れてしまうわけです。

💡
この難題を乗り越えるには、質の高いお手本に触れていくことが大事。

学習のアイデア

学習用の教材ではない実際の会話や音声を聞き、connected speech(日本語では連続発音または連続発話と訳され、単語がつながるとどのように発音が変化するかを指します)に注目してみましょう。単語と単語の間に余分な音が聞こえることはありませんか?また、カジュアルな会話では、フォーマルな会話や初心者向けの教材とは発音が違って聞こえるのではないでしょうか?

いろいろな抑揚のパターンも、努めて聞き分けるようにしてください。誰かに質問する場合、大勢の前で発表をする場合、そして出来事を説明する場合ではリズムやパターンが異なり、また、どんな言語にも特有の抑揚が感じられるはずです。特徴的なパターンを捉えることができたら、それを何度か繰り返し、リズム感も意識しながら口ずさんでみましょう。初めのうちは、1つ1つの単語を気にする必要はありません。まずは、音量が上がったり下がったりするタイミングに集中しましょう。

理⁠由⁠そ⁠の⁠5⁠:会⁠話と作⁠文が比⁠較⁠的弱⁠い

多くの学習者は、読解と聞き取りのほうが、会話や作文よりも早く上達する傾向にあります。バランスを取るため、会話と作文に十分な時間を割くようにしましょう!

💡
話したり書いたりする機会をできるだけ多く見つけ、見つからなければ作ってしまいましょう!

学習のアイデア

  • 学習中の言語で毎日、日記を書く。スマホのアプリを使ってもかまいません。その際には習得中の言語のキーボードもダウンロードして、現地の人と同じ体験ができるようにしましょう!
  • または、文章を書く代わりにオーディオ日誌をつける(一日の終わりに数分間、その日の出来事について話し録音する)。
  • どこかへ一人で出かけたら、目に入るものすべてについて(スポーツ解説者のように)実況中継する!

飛び立つ準⁠備はOK?!

語学で上達が止まってしまったと思ったら、それは次のステージへの上昇を促すサイン。自分の目的や必要に合わせた学習方法を取り入れる、絶好のタイミングです。学習方法の見直しによって、スランプは必ず克服できます!💪