英語学習者にとって重要なテーマの一つが、「I」「him」「ours」などの人称代名詞です。この一見地味で目立たない「人称代名詞」という言葉は、実は、非常に重要な意味を持っています。これを使うことによって、誰(または何)について話しているのか、それが1人(または1個)なのか複数なのか、そして時にはその人の性別までも、端的に伝えることができるからです。

それでは今から、英語のさまざまな人称代名詞について学んで行きましょう!


目次

英語の人称代名詞とは?

英語の人称代名詞の一覧

主格代名詞

目的格代名詞

再帰代名詞

所有代名詞

代名詞の所有格

英語の人称代名詞を学ぶヒント


英語の人称代名詞とは?

他の代名詞と同じく、人称代名詞は、名詞の代わりとして使用するための単語です。例えば、ある本について話しているときに、何度も「その本が....、その本を...」と繰り返すかわりに同じ意味を持つ言葉「it」で置き換え、「I just bought a new book, but I can't find it」(⁠ついさっき私は新しい本を買ったのだが、それを見つけることができない)と簡潔に述べることができます。話題となっている対⁠象を明確に述べた後であれば、それについて再び言及するのに、​代名詞が使えます。

日本語の人称代名詞と英語の人称代名詞の間には、様々な点で違いがあります。一般的に英語の表現では、代名詞を使用する頻度がより多くなります。ま⁠た、代名詞を正しく使うには、次の事項を考慮する必要があります。

  • 人称(一人称、二人称、または三人称)
  • 代名詞が指す人や物の数(単数または複数)
  • 性別(人と一部の動物の場合)

文中でその言葉が果たす役割(主語、目的語など)

英語の人称代名詞の一覧

英語の人称代名詞の中で最も重要なものは、主格代名詞目的格代名詞再帰代⁠名詞所有代名詞の4つとなります。以下がその一覧です。

人称 主格代名詞 目的格代名詞 再帰代名詞 所有代名詞
一⁠人⁠称単⁠数 I me myself mine
二⁠人⁠称単⁠数 you you yourself yours
三⁠人⁠称単⁠⁠数 he
she
it
him
her
it
himself
herself
itself
his
hers
its
一⁠人⁠称複⁠数 we us ourselves ours
二⁠人⁠称複⁠数 you
(you all, y'all, ye, yinz, you guys)
you
(you all, y'all, ye, yinz, you guys)
yourselves
(y'all's selves)
yours
(y'all's, yinz's, you guys's)
三⁠人⁠称複⁠数 they them themselves theirs

上記のとおり、複数の人からなるグループに向かって直接話しかける場合(⁠二人称複数)には、沢山のバリエーションがあります。これは方言の一種で、地域や丁寧さのレベルによって異なった形を取ります。この表には、最もよく聞かれるものを選んで記載しました。例えばDuolingoの本社があるペンシルベニア州ピ⁠ッ⁠ツバーグでは、地元の人々が二人称複数形に「yinz」を使うのを耳にすることがあります。これら二人称複数形のいろいろな形は、聞いてわかる程度に覚えておくと便利です。ただし、学習者のみなさんが自分で英語を話したり書いたりする際には、1種類だけ使えればまったく問題ありません!

英語ではどのようなときに人称代名詞を使うのか

英語のいろいろな人称代名詞を使い分け、理解するには、以下の基礎知識を覚えておいてください。

主格代名詞

主格代名詞は、動詞の主語として使用します。英語の文章では、主語は常に動詞の前に来ます。ただし疑問文の場合は、この順番が変わります。

英語での主格代名詞は、動作を行う人(または物)が誰であるかを伝える大事な手段ですから、絶対に省略できません。(逆に、スペイン語のように積極的に省略する言語もあります。)もっとも日常会話ではこのルールが崩れ、主格代名詞が消えてしまうこともありますが、学習者のみなさんは、主格代名詞を常に使用するほうが無難です。

  • The green owl eats as much as an elephant! He is always hungry. (この緑のフクロウは象なみに食べます!彼はいつもお腹を空かせています。)
  • Oscar and I are going to Seattle next week. We are so excited! (オスカーと私は、来週シアトルに行きます。私たちは心を踊らせています!)
  • Vikram just bought 12 watermelons. They fill up our whole refrigerator. (ヴィクラムはスイカを12個も買ってきました。それらが我が家の冷蔵庫を満杯にしています。)

目的格代名詞

動詞の目的語となっている名詞、または前置詞のあとに来る名詞を代名詞に置き換える場合は、目的格を使用します。英語以外の言語では、直接目的語と間接目的語で代名詞の形が異なるものがありますが、英語の場合、どちらの形も同じです。

  • I like my eggs well done. Please cook them longer than usual. (卵は固茹でにしてほしいです。これらをちょっと長めに茹でてもらえますか。)
  • My dad Eddy is picking me up today, so I'll see him after school. (ぼくの父のエディが、今日迎えに来ることになっています。つまり放課後に彼に会います。)
  • Are you coming tonight? The party won't be the same without you! (今夜いらっしゃいますか?あなたなしではパーティーが盛り上がりません!)

再帰代名詞

再帰代名詞は、人や物が、自分自身に対しその動作を行っている場合に使用し、主語である人や物が動作の主語であると同時に目的語であることを示す役割があります。再帰代名詞は、動詞または前置詞の後に置かれることもあり、この場合は主語と人称・性・数が一致します。また再帰代名詞は、強調の効果を狙って使用されることもあります。

  • The baby likes to see himself in the mirror. (その赤ちゃんは、鏡に映った自分自身を見るのが好きです。)
  • I was so proud of myself after throwing the surprise party!(サプライズパーティーを開いた後、私はとても自分自身が誇らしかったです!)
  • We can't help but look at ourselves during the whole Zoom meeting… (私たちは、Zoomミーティングの間じゅう、自分自身を見つめずにはいられない...)

所有代名詞

所有代名詞は、誰かに属するまたは誰かが所有する物(あるいは人や動物)を表現するのに使います。所有代名詞は、対象とする名詞または名詞句の代わりとして、単独で使用します。どの所有代名詞を使うかは、その物を所有する人の人称・性・数によって決まり、所有される側の性や数には一切関係しません。

  • I just bought 2 delicious cupcakes. You can have one, but don't touch mine!(おいしいカップケーキを2つ買ってきたよ。1つ食べていいけど、私のには手を出さないでね!)
  • The referees locked their bikes near Dawn's bike. Hers is red, and theirs are both black.(審判員達はドーンの自転車の近くに自分たちの自転車を施錠しました。彼女のは赤、彼らのは黒でした。)
  • My boyfriend's family dinners are so calm, but ours are always quite animated.(私のボーイフレンドの家庭の夕食はとても静かですが、私たちのはいつもにぎやかです。)

代名詞の所有格

所有代名詞と密接に関係するもう一つの単語は、「代名詞の所有格」です。所有代名詞が名詞の代わりとして働くのに対し、代名詞の所有格は名詞と組み合わせて用い、何かを所有していることを表します。代名詞の所有格は、説明する名詞の前(例:my trip「私の旅行」)、または名詞を形容する形容詞の前(例:my exciting trip「私のわくわくする旅行」)に配置されます。

所有代名詞と同じように、代名詞の所有格の語形も、その名詞を所有している人の人称・性・数によって決まります。

人称 主格代名詞 所有代名詞 代名詞の所有格
一⁠人⁠称単⁠数 I mine my
二⁠人⁠称単⁠数 you yours your
三⁠人⁠称単⁠数 he
she
it
his
hers
its
his
her
its
一⁠人⁠称複⁠数 we ours our
二⁠人⁠称複⁠数 you
(you all, y'all, ye, yinz, you guys)
yours
(y'all's, yinz's, you guys's)
your
(y'all's, yinz's, you guys's)
三⁠人⁠称複⁠数 they theirs their
  • My friend and I write Duolingo fanfic together. Our fanfic is hilarious. (私の友達と私は、一緒にDuolingoのファンフィクを書いています。私たちのファンフィクは、抱腹絶倒です。)
  • I can't believe you and Lin got another turtle. Y'all's whole paycheck must go to y'all's turtles! (あなたとリンがまたカメを飼ったなんて、信じられません。あなたたちの給料は全部、あなたたちのカメに注ぎ込まれているに違いない!)
  • My boss's notes are illegible. I can never read her handwriting! (私の上司のノートは判読不可能です。彼女の筆跡はどうしても読めません!)

英語の人称代名詞を学ぶヒント

人称代名詞にはたくさんの種類がありますが、次に挙げるような戦略を使って、ぜひ使いこなせるようになってください。

  • 「性」を覚える:英語学習者の多くにとって、性によって変化する代名詞は手強い相手ですが、英語では三人称単数の場合だけです(「he/him/his/his」と「she/her/hers/her」)。
  • パターンを探す:英語の人称代名詞は、人称ごとにパターン化できます。そのほとんどでは最初の一文字が同じ、つまり「he」の変化形はすべてhで始まり、「they」の変化形はすべてthで始まる、といった特徴を持っています。ただし例外もあります!パターンがはっきりしている代名詞グループは、そのグループごとに変化形をまとめて覚えてしまいましょう。
  • 尊敬語にあたる代名詞はない:英語の人称代名詞には、丁寧さの度合い、発言者の立場などに基づく変化形はありません。もちろん英語にも、より丁寧に表現するための単語や表現はあります。でも、代名詞自体は上司でも友達でも同じものを使います!
  • 「They」か「it」かをよく考える:英語の場合、「it」やその変化形は物、あるいは話し手が特に愛着を持っていない動物(たとえば野生の動物🐻)に対して使うのが基本です。一方、ある人について話しているがその人の性別がわからない、またはあえて性別を指定する必要がない場合は、「they」を使います。(「it」を使うと失礼にあたるので注意!)また「they」 は、多くのノンバイナリージェンダーの人々が使う代名詞でもあります。

人称代名詞の使いこなしで、コミュニケーション力を高めよう!

英語の人称代名詞は、種類が多く面倒ではありますが、頻繁に出現するため、練習するチャンスには事欠かないと思います。たとえばDuolingoのレッスンで、またはDuolingoポッドキャストを聴くときに人称代名詞に注目してみてください。主格代名詞、目的格名詞、再帰代名詞、所有代名詞、あるいは代名詞の所有格を区別できるかどうか、試してみましょう。練習すればするほど、自然に使いこなせるようになりますよ!