Duolingo English Test(略称DET)に関するよくある質問に「試験監督官はいますか?」というものがあります。その答えは「はい、います!」ですが、イメージがわかないという方も多いでしょう。
オンラインテストでの試験監督、と聞いてピンとこないのも当然です。ここ数年で英語能力認定テストの形態が変わりつつあり、読者の皆さんが過去に受けたことのある試験とまったく違う点も多くあるからです。
SATやTOEFLのような有名な試験も、かつては試験会場で実施されていましたが、パンデミックによる制限の影響でオンライン方式に移行しつつあります。一方、Duolingo English Testのようなデジタルファーストの試験は、最初から、オンデマンドで好きな時に好きな場所で受験できるように設計されています。
試験をオンライン方式に移行するにあたり、デジタル空間で行われる試験で本当に不正行為を防げるのか、多くの人が疑問に思っていることでしょう。それではオンラインテストの監督がどのように行われるのか、これからご説明しましょう!
そもそも試験監督とは?
試験監督とは、受験者が不正を行わないように監視することです。従来の試験会場方式の試験では、受験者のグループが一つの部屋で一斉に、数時間にわたる試験を受け、これを試験官がつきっきりで監視する方法が採用されてきました。
この方法は、Duolingo English Testのような、時間や場所を問わずに受験できるオンライン方式のテストには使えません。世界のどこからでも、24時間いつでも受験できるシステムなので、テストのたびに試験官を配置するのは実質不可能だからです。また、そもそもリアルタイムで監視する従来の監督方式にはいくつかの欠点があることもわかっています。実は、Duolingo English Testの設計開始当初に問題とされたのは「従来の試験監督方式は、果たして最良なのだろうか?」という点でした。
従来の試験監督方式の問題点
従来の試験監督方式は、数十人の人間からなる信頼の連鎖に依存しており、どこか一か所に問題が起これば試験の実施そのものが機能しなくなってしまう可能性があります。テスト問題を配る人から事務局の職員、試験官、採点者に至るまでの大勢の関係者のうち、誰か一人でも試験で便宜を図ろうとすれば、テストのセキュリティは簡単に損なわれてしまうのです。
そもそも試験会場での受験では、その様子が記録に残りません。試験官がすべての受験者に同時に注意を払うのは不可能なため、受験者の一部をランダムに観察するのにとどまります。受験の様子を録画や録音で記録しておかない限り、試験官の記憶による説明が唯一の証拠であり、これ以外に受験者の行動を証明するものがありません。
また試験官と受験者は同じ部屋にいるため、匿名性が保たれません。これも一種のリスク要因です。なぜなら試験を実施する側と受ける側が同じ都市にいることが多いため、両者が示し合わせれば、試験のセキュリティ対策の裏をかくことができてしまうからです。組織化された受験者グループが地元の試験実施者を買収して共謀し、試験で不正を行ったという事例は、主要メディアで何度も報道されています。
そのうえ、テストは集団で実施されるため、悪意のある受験者と誠実な受験者を正確に見分けるのは極めて困難です。不正行為に気がつきにくいだけでなく、誠実な受験者が身に覚えのない行為で責められることにもなりかねません。さらには、たった一件の不正行為で受験者グループ全体の採点が無効となってしまうことすらあるのです。
このような理由から、Duolingo English Testでは従来の試験監督方式は採用していません。いずれにしても、昔ながらの試験監督方式では、オンライン方式だろうと会場方式だろうと、完全な監視はできないというのが現実です。
Duolingoではどのようにオンライン試験の安全性を確保しているか?
Duolingo English Testのアプローチは、一歩先を行く試験監督方式と考えることができます。デジタルファーストを前提とした試験開発方針の一つとして、試験監督方式に対しても、人間の専門知識とAIの力を組み合わせた包括的なアプローチを行いました。
テストは、1人の人間がリアルタイムで観察するのではなく、まず試験の過程全体をコンピューター、マイク、キーボード、マウスを通じて記録し、その後、トレーニングを受け資格を持った専門家が数回にわたるチェックを行います。受験者のスコアは、このプロセスを経てはじめて、認定されます。
試験官は、リモートで試験の記録をチェックします(必ずしも試験と同時にチェックを行うわけではありません)。またチェックの際に受験者の名が試験官に、または試験官の名が受験者に明かされることはなく、受験者が試験官に便宜を図るよう働きかけることができないようになっています。試験は個別に行われるため、ある受験者が不正を試みても、他の受験者のスコアが無効になることはありません。 試験は1件ごとに記録されるため、不正行為の有無を判断するための証拠がより多くなるうえ、複数の匿名の試験官による検証を行うこともできます。
試験の実施方法やその安全性対策は、今や変革期を迎えています。評価方法や機械学習技術の進歩のおかげで、デジタルプラットフォームを通じて試験をよりスピーディーに、そしてより多くの人々に提供できるようになりました。試験監督方式の変革も、その一つです。最新の試験方法を取り入れたDuolingo English Testを、あなたも受けてみませんか?