「Duolingoへの質問」へようこそ。このコラムでは言語学習者へのアドバイスを紹介します。過去の記事はこちらをご覧ください。
学習者の皆さん、こんにちは!今週の「Duolingoへの質問」は、私エリザベスが担当します。過去には文法を学ぶためのヒントも担当しましたので、よろしければご覧ください!
今回は、単語も文法もカバーする、より普遍的なテーマを取り扱います。皆さんが、Duolingoのレッスンに取り組んでいるときによく考えるに違いないトピックですよ!
今週の質問:
一発勝負さん、そのお気持ちはよく分かります。確かに私も、以前はそう考えていました。学習とは「すでに知っていること」と「新しい情報」とのつながりを築くことです。それには、まず新しい情報を吸収し、その情報を短期記憶と長期記憶の両方に取り込むことが必要となります。情報を長期記憶に刻み付ける際に鍵となるのが、「間隔反復」による学習です。
「規則的な反復」であれば、おそらく誰もがイメージできるでしょう。一方「間隔反復」は、脳内の情報のつながりがどのようにでき、その後どのように弱まっていくかというリズムを利用した、特別な方法による反復を指します。
間隔反復学習って何?どう機能する?
間隔反復学習は、心理学者エビングハウスが提唱した「忘却曲線」に基づく学習法です。彼は意味を持たないランダムな音節を使って記憶力を試し、時間の経過につれて、その音節の記憶がどのように薄れていくかを観察しました。これは皆さんにも覚えがあるのではないでしょうか。たとえば、新しい電話番号を数分間覚えていても、翌日には忘れてしまったりしますよね。
研究によると、間隔反復学習は、単語、文法、数学の理論、運動での身体の使い方など、ありとあらゆる技能の習得に効果的だそうです。つまり、間隔反復学習は学習において万能と言っても過言ではありません!
間隔反復学習が有効なのはなぜですか?
間隔反復学習は、長期記憶力を向上させます。情報は、しばらく使用していないとすぐに忘れてしまうものであり、しかし定期的に確認することで、記憶に定着させることができます。ここで興味深いのは、何回復習するかだけでなく、どのタイミングで復習するかによっても、結果が異なることです。
たとえば、スペイン語のテスト直前の勉強を想像してみてください。前夜に各単語を20回ずつ見直せば(かの有名な一夜漬けですね...😅)、テストには合格できるかもしれませんが、すぐに忘れてしまうでしょう。その代わりに、試しに各単語を1日4回、適当な間隔を空けて見直すようにし、これを5日間続けてみてください。この方法でも各単語に対し20回の復習を確保できますが、さらに数日間の間隔を空けると、より長期間覚えていられる可能性が高くなります。単語への理解は時間が経つにつれて深まっていくため、見直しを重ねるごとに単語が記憶に残る時間は長くなり、復習の間隔をより長くしていく事ができます。そして効果を最大化するには、忘れそうになる直前にもう一度見直すのがおすすめです。これは、脳内で情報と情報のつながりを強化するのに、非常に有効な方法です。
ただし間隔反復学習は、あくまで時間をかけて情報を吸収していく方法のため、すぐに学習成果が得られるとは限りません。最初は、何度やってもすぐ忘れてしまうように感じるかもしれません。しかしそこで止めずに続けることで、記憶が長期にわたり持続するようになります。
実はDuolingoのレッスンには、間隔反復学習の手法が組み込まれています。
- レッスンの終わりに、自分が間違った箇所を復習しますよね?それは、レッスンの最後まで待つことで、少しだけ間隔を空けて反復演習を行うようにしているんです!
- Duolingoの語学コースでは、学習者の回答の傾向をもとにレッスン内容をパーソナライズし、復習する単語や文法をその人にあわせて選択したうえで間隔反復学習を行います。そのため、コースを進めていくに従い、学習ルート全体から得た情報が復習の対象となっていきます。
Duolingoでは今後数か月で、間隔反復学習の機能をさらに向上させていく予定です。ご期待ください!
間隔反復学習によって記憶を定着させる方法
では、間隔反復学習の手法を自分で取り入れるにはどうすればいいのでしょうか?以下にそのヒントをいくつかご紹介します。
学習時間の間隔を空ける
学習時間を一気に取らず、複数の時間帯に分割し、時間帯と時間帯の間に適当な間隔を空けてください。
日数の経過とともに、間隔を広げていく
新しい情報は間隔をあまり空けずに確認し、古い情報ほど、間隔を長く取って確認するようにしてください。たとえばお気に入りのデュア・リパの新曲を覚えたいのであれば、最初は毎朝、次に一日おき、その後は週に2回...という感じで聴いてみるのが良いでしょう。
難しいと感じたものは、早めに復習する
この学習法を進めるにつれて、内容をどの程度マスターできているか、そして最後に復習したのはいつかという点を考慮する必要が出てきます。間違えたものはすぐに復習し、正解したものは少し待ってから復習するようにしましょう。
自力で思い出す練習をしよう!
間隔反復学習は、アクティブリコールと組み合わせると最も効果的です。アクティブリコールとは、教科書を読み直したり動画を見たりするといった受け身の勉強をするのではなく、一度学んだことを自力で思い出そうとする(自分の記憶を掘り起こして情報を取り出す)練習をすることを意味します。これを実践するには、復習のための設問に答えてから、答えを確認する必要があります。つまり、単語帳やフラッシュカードを使うのであれば、答えをめくる前に必ず、自分なりの回答を行ってください。または友達に協力してもらい、練習問題を出してもらえれば、最高ですね。そうすればカンニングができなくなるうえ😉、もっと楽しくなるので、モチベーションもぐっと上がります。
もう一度言います...学習の秘訣は、反復!
間隔反復学習は、どんな学習計画にも簡単に組み込むことができるので、ぜひ試して見てください。そしてDuolingoのコースなら、アプリにお任せでOKですよ!
言語や学習に関するご質問は、dearduolingo@duolingo.comまでメールでお問い合わせください。