「Duolingoへの質問」へようこそ。このコラムでは言語学習者へのアドバイスをご紹介します。過去の記事はこちらをご覧ください。

大家好(皆さん、こんにちは)!今回の「Duolingoへの質問」は、Tina TanとAdele Touheyが担当させていただきます。現在、TinaはDuolingoの中国語コース、Adeleは韓国語コースの開発に携わっていますが、Duolingoに加わる前は二人とも中国語を教えていたという共通点があるため、コンビを組むことになりました!先日も「Duolingoへの質問」で、中国語の声調について回答しましたが、今週も中国語についての質問にお答えしていきます!

今週の質問

デュオリンゴへの質問の手紙のイラスト。手紙には、次の内容が記載されている。デュオリンゴに質問です。数週間前から中国語コースを受講していて、友達に繁体字か簡体字か標準語か広東語か...と聞かれたのですが、よくわかりません!何が違うんでしょう?また、中国に旅行するのであれば、どれを学んだらいいのでしょうか?よろしくお願いします。「トリビア大好き!」より

いい質問ですね!そう、「中国語」とは複数の方言の総称で、文字体系も1つではなく、その全容は一言では言い表せないのです。中国語を勉強したことのない方でも、中国語がヨーロッパ言語とも日本語ともかけ離れていることは、おそらくすでにご存知でしょう。また、文法、表記法から発音に至るまで独特な点が多くあり、学習者にとっては常に驚きに満ちた言語です。

今回のブログでは、Duolingoで現在学べる中国語の種類、そして色々な中国語の地方方言について説明していきます!

Duolingoはどんな中国語を教えていますか?

Duolingoでは、2種類の中国語のコースを提供しています。英語、日本語、ベトナム語話者向けには「簡体字による普通語コース」、そして普通語の話者を対象とした「繁体字による広東語コース」です。

おっと、さっそくややこしくなってきましたね!そもそも普通語とは?そして普通語と広東語の間には、どのような違いがあるのでしょうか?

普通語は中国の公用語で、かつて北京の宮廷で官僚が使っていた言葉を元に標準語として体系づけられたものであり、学校の授業、政治、報道などで使用される全国共通語です。よって普通語は中国で最も広く話されている言語でもあります。もしあなたが中国を旅行することがあれば、おそらく最も耳にする機会が多いのは普通語でしょう!中国語の学習に興味を持つ人の多くにとって、普通語は入口に最適な言語です(そして最も教材を見つけやすい言語でもあります)。

一方、広東語は、主に南部の広東省、香港、マカオで広く話されている中国語です。この広東語は、発音や語彙、そして文法に至るまで普通語とは大きく異なります。たとえば、普通語の声調(音の高低のパターン)が4つであるのに対し、広東語には6つの声調があります!そのため、広東語を聞いて別の国の言葉だと誤解してしまう人もいるかもしれません😅

以下は、Duolingoアプリで「はじめまして」を普通語と広東語のそれぞれで教えている例です。語彙や発音がまったく違うことがよくわかるのではないでしょうか(吹き出しの漢字の上に、グレーのアルファベットで発音が表示されています)。

普通語 広東語
英語話者向けの普通語コースで「はじめまして」を習う場合のスクリーンショット。 普通語話者向けの広東語コースで「はじめまして」を習う場合のスクリーンショット。

そして、普通語と広東語だけが中国語というわけではありません!中国で使われている言語には、もっと多くの種類があります👀

中国では皆が「普通語」で話す?

その答えは「はい」でもあり、「いいえ」でもあります!

中国では、学校で普通語を習うため、ほとんどの人が少なくとも多少は普通語を話すことができます。しかし中国はとても広く、さまざまな地域があるため、家庭ではその地域特有の言葉を使う人も多くいます。

大まかに言って、中国では広東語(※)のほかに、6つの主要な地方方言が話されています。

  • 中国北部と南西部の大部分で話されている「北方語」
  • 上海地域と江蘇省・浙江省の一部で話されている「呉語(ごご)」
  • 主に江西省で話されている「贛語(かんご)」
  • 主に湖南省で話されている「湘語(しょうご)」
  • 主に福建省と台湾で話されている 「閩語(びんご)」
  • 中国南東部の山岳地帯で客家人によって話されている「客家語(はっかご)」

(※)広東語は「粤語(えつご)」と呼ばれることもあります。

中国語は、発音・文法・語彙等の言語的特徴、発達の歴史、地理的分布などに基づき、主にこれら7つのグループに分けられます。これらの中国語の中には、普通語とよく似ているが発音が違うもの(北方語系の方言)や、そもそも文法からして異なるもの(広東語や客家語など)もあります。

では、ある省の人は別の省の人の言うことを理解できるのでしょうか?その答えは「場合による」です!二人とも普通語が話せればもちろん大丈夫ですが、問題は、ある方言の話者が別の方言の話者の発言を理解できるかどうか、です。北方語系の方言ならば普通語との共通点が多いので、たとえば東北部の黒龍江省出身の人は、北京に近い河北省出身の人の話を簡単に理解することができるでしょう。

一方で中国南部では、方言間に大きな違いがあります。同じ広東省に住んでいても、広東語を話す人が客家語を話す人を完全に理解することはできません。

ただし、読み書きさえできれば話はもっと簡単です。実は、方言は多数あっても、書き言葉の文字体系は共通(後述する「簡体字」または「繁体字」のいずれか)であり、出身地が違っても十分に意思疎通が可能なのです...そう、皆さんもよくご存じの「漢字」です!

中国語の文字体系

中国語では、どんな方言でも、文字を書くのに漢字を使います。アルファベットやひらがなが発音を表すのに使う文字であるのに対し、漢字は表語文字であり、各文字は単語または単語の意味のある構成要素を表します。

漢字の場合、見ただけではその発音は全くわかりません。まず漢字の意味を覚え、そのうえで発音も覚える必要があります。そのため日本語には「ふりがな」という仕組みがありますが、中国語にも「ピンイン」と呼ばれる、文字の発音をローマ字で書く方法があります(上のスクリーンショットにある、グレーの小さな文字がそれです!)。

日本語と同様に中国語でも、多くの漢字には「部首」が付き、それによって漢字の意味をある程度限定することができます。

部⁠首 部首の意味 この部首を使った漢字(カッコ内は日本語での意味)
日本語の「おんなへん」と同じく「女性」 妈 (母)
姐 (姉)
日本語の「ごんべん」と同じく「言葉」 语(語)
说(話す、言う)
日本語の「さんずい」と同じく「水」 河(川)
海 (海)

ただし、中国語の漢字には「簡体字」と「繁体字」の2種類があります。「繁体字」は古代から使われてきた伝統的な書き言葉です。一方「簡体字」は、1950~1960年代に中華人民共和国で識字率を高めるために考案され、標準となった字体です。現在、中国大陸、シンガポール、マレーシアでは簡体字が使われていますが、台湾、香港、マカオでは繁体字が使われ続けています。

以下の例は簡体字と繁体字の比較ですが、日本語話者の皆さんはきっと、すぐに理解できることでしょう!

簡体字 繁体字 ピンイン(中国語のローマ字表記) 意味
ài
fēi 飛ぶ
shēng 声・音
言語

わかるようなわからないような...でも面白い中国語!

中国語が世界からの注目を浴びているのは、その文字体系がアルファベットと違い独特であるからだけではなく、14億人もの話者を持ち、文化的・歴史的な多様性を反映するさまざまな方言を持っているからです。中国語について学ぶことは、文化の多様性を学ぶことでもあります。この学習の旅の途中でいくつの中国語を覚えたか、ぜひ私たちにも教えてください!では、加油(頑張って)!

言語や学習に関するご質問は、dearduolingo@duolingo.comまでメールでお問い合わせください。