外国語を学んでいると、母語に翻訳できない言葉に出くわすことがあります。このような単語に出会ったら、その意味や語源を調べてみることによって、その言語を話す人々の文化についてより深く知ることができます。今回のブログでは、米国ならではの文化を感じさせる、楽しい英単語を紹介しますね!

同じ釜の飯「Potluck」

Potluck(ポットラック)」とは、ゲストが料理を持ち寄る飲み会やパーティーのこと。「Potluck」はもともと「Pot(鍋)」と「Luck(幸運)」の2つの言葉で、「鍋の幸運」、つまりどんな代物を食べるはめになるかわからない、という意味から来ています!この言葉が最初に使われたのはシェイクスピアの時代で、当時は「メニューの決まっていない食事」という意味でしたが、その後に変化して「持ち寄りまたはあり合わせのものを分かち合う食事」という、現代の意味を持つようになりました。


「Potluck」は、米国で家族や友人が大勢集まる機会によく行われます。この方法であれば、パーティーのためにたくさんの料理を準備する必要がなく、ホストに負担がかからないからです。もっとも「Potluck」式のパーティーは、語源のとおり、どんな料理を持ってきてもらえるかによって明暗が分かれます! 😅

女性に贈り物をする男性のイラスト

家に火をともす「Housewarming」

米国をはじめ、新居に引っ越した人が「Housewarming(ハウスウォーミング)」パーティーを開く習慣のある国は多くあります。これは、友人や家族に新居を見てもらい、一緒にお祝いする催しです。招待された人は通常、何らかのプレゼントを持参します!かつて暖炉で家を暖めていた時代には、この新居祝いのプレゼントに薪を持参することがよくありました。その薪を使って家中の暖炉に火を入れ、家(House)を温める(Warming)というのが、この言葉の起源です。


今日では、植木やキャンドル、ワインのボトルなど、プレゼントの中身は様変わりしましたが、このパーティーの精神は今も昔も同じ。友人や家族が家を「暖めに」来てくれることによって、家に生命が宿るわけです!

試合前の大宴会「Tailgating」

Tailgating(テールゲーティング)」とは、スポーツ観戦(アメリカンフットボールが一般的です)の前に集まって飲食する、社交的な催しです。「Tailgate(テールゲート)」とは、バンやトラックの荷台の後部扉のことで、荷物の積み下ろしの際に開閉する部分。試合に見に行くときには沢山の食べ物や飲み物を車に積み込み、競技場の駐車場で後部扉を開け、荷台にごちそうを広げて観戦前のひとときを家族や友人と楽しみます。


また、バンやトラックがないと「Tailgating」ができないなんていうこともありません! 多くの人は、普通の自家用車に折りたたみ椅子やテーブルなどを詰め込んで会場に行き、駐車場でお花見のような宴会を繰り広げます。

ぼろぼろの家のイラスト: ドアは外れ、屋根には木が倒れ、窓ガラスにはひびが入り、家の横の茂みには廃材やゴミが落ちている。

「Fixer-upper」にあえて挑戦

Fixer-upper(フィクサー・アッパー)」とは、大幅な修理が必要なかわりに比較的安い価格で購入できる家のことです。購入後に「Fix it up(修理する)」しなければならないことから、このような名前が付きました。資金があまりないがチャレンジ精神旺盛な買い手や、改装してから売却して利益を得たい買い手にとっては、ありがたい選択肢です。この「Fixer-upper」という用語は、家以外にも車や、さらには人に対しても使うことがあります!


動詞に「~er」がついた言葉は、通常は「その動作をする人や物」を意味します。一方、この同じ「~er」が「その動作の対象となる人や物」を示すこともあり、たとえば「keeper」ならば「保管する価値のある人または物」、そして「fixer-upper」でも「修理の対象となる家」の意味で使われています。ただし「~er」が2つ付いていることに特別な意味はなく、いわば語呂合わせにすぎません!

小さな火の前で丸太の上に楽しそうに座っている熊のフォルスタッフのイラスト。先端にマシュマロのついた長い棒を火の上に持っている。

キャンプの定番「S’more」

S’mores(スモア)」は米国やカナダのキャンプに付き物のおやつで、2枚のグラハム・クラッカー(薄くて甘いクラッカー、シナモンや蜂蜜の味が付いていることが多い)の間に、焼いたマシュマロとチョコレートを挟んだもの。「S’more」は「some more」の縮約形で「もっとちょうだい!」という意味です。


北米では100年前の昔からある定番中の定番で、キャンプファイヤーの周りでは必ずと言っていいほど、これを作り頬張る人々の姿が見られます。もっとも外で火を起こすのが面倒なら、オーブンや電子レンジでマシュマロを焼いてもOK!

翻訳できない言葉こそが文化理解の鍵

外国語でより豊かな表現をし、より深いレベルでのコミュニケーションができるようになるには、文法や基本的な語彙を学ぶだけでなく、その背景にある文化を掘り下げることも必要です。今回ご紹介したような英語特有の単語は、他の言語に翻訳できない言葉でもあります。こういった単語こそが、米国の文化を垣間見るための手がかり。Duolingoの英語コースで、他にも色々な表現に触れてみて下さい!