ビショップは、非常にわかりやすい動き方と取り方をする駒です。斜めに進むことで、一度に多くのマスを押さえ、強力な一手を仕掛けることができます。 


目次

チェスの基本:ビショップとは?

ビショップは、先のとがった上部に特徴的な斜めの切れ込みがある駒です。この形は、キリスト教の高位聖職者(ビショップ)が典礼の時にかぶる冠「ミトラ」を表していると言われています。各プレイヤーは2個のビショップを保有し、ゲームを開始する際、白のビショップはc1とf1、黒のビショップはc8とf8に配置します。


白と黒のビショップの盤上での初期配置。1段目と8段目に配置する。

はるか昔、チェスの祖先であるチャトランガをはじめとするボードゲームでは、この駒はもともと象でした。実際、現在でも多くの言語で、この駒を表すのに「象」を意味する言葉が使われています!しかし、象はヨーロッパにはもともといなかったため、中世にチェスがヨーロッパへ広まった際、ヨーロッパの人々はこの駒を、自分たちにとってよりなじみのあるもの、つまり僧正(ビショップ)へと変えたのです。 

駒の価値で見ると、ビショップは通常3点とされ、ナイトと同じ価値があります。同程度の価値を持つ駒として、ビショップとナイトは総称して小駒(マイナーピース)と呼ばれます。ビショップ1つだけではチェックメイトできませんが、ビショップ2つがペアになればメイトを決めることができます。ルーククイーンほど強力ではありませんが、それでも重要な「射程の長い」駒です。

ビショップの動き⁠方 

ビショップは、進路をふさぐ駒がない限り、斜め方向に、好きな数だけマスを進むことができます。ただし、ほかの駒を飛び越えることはできません。相手の駒を取るときは、その駒があるマスに移動します。


盤上に2つのビショップがあり、それぞれの動きを示す矢印が描かれている。1つのビショップは左下の斜め方向に3マス動く。もう1つのビショップは右下の斜め方向に4マス動く。

ビショップについて大切なポイントの1つは、決まった色のマスしか移動できないことです。ゲーム開始時、片方のビショップは白マスに、もう片方は黒マスに配置されています。白マスから始まったビショップは、ゲーム中ずっと白マスの上しか動けず、黒マスへ移動することは絶対にできません。黒マスから始まったビショップについても、まったく同じことが言えます。

つまり、それぞれのビショップが支配できるのは、盤上のマスの半分だけです。ビショップを手放す決断を取る前に、今一度よく考えてみましょう。その色のマスを支配する力を、永遠に失うことになるからです!

戦略のヒン⁠ト

ビショップは、ゲームを展開し、チェックメイトへと進むための重要な武器です。以下に、ビショップを使ううえで知っておきたい事実やコツをまとめてみました!

ビショップを使った戦⁠術

ビショップは「射程の長い(盤上で広範囲にわたって影響を与えることができる)」駒です。そのため、遠くにある駒を攻撃でき、盤の両側を同時に狙うこともできます。

ビショップが関わる代表的な戦術には、次のようなものがあります。

  • ピン:相手の駒を釘付け(ピン)する戦術です。相手にとって「この駒を動かすと、後ろにいる重要な駒(キングやクイーン)が取られる」という状態を作り、動かせないようにします。
  • フォーク:2つの相手の駒を同時に攻撃する戦術です。 
  • スキュア:相手の「価値の高い」駒を攻撃して逃げさせ、その後ろで無防備になった別の駒を「串刺し(スキュア)」のように狙って取る戦術です。

白のビショップが、黒のナイトとその後ろにある黒のクイーンと同じ対角線上にあり、それによってナイトをピンしている。

ピンによるキャプチャー(駒取り)の例


白のビショップが一方の対角線上で黒のルークを攻撃し、同時にもう一方の対角線上で黒のキングにチェックをかけている。

フォークによるキャプチャー(駒取り)の例


白のビショップが黒のキングにチェックをかけ、キングの後ろにある黒のルークを狙っている。

スキュアによるキャプチャー(駒取り)の例

ビショップを使ったもう1つのよくある手筋は、不注意な相手のルークを初期位置の隅のマスに閉じ込める(トラップする)ことです。


右上の隅(h8)に黒のルーク、その左(g8)に黒のナイト、前(h7)に黒のポーンがあり、白のビショップ(g7)が、隅にいるルークを完全に閉じ込めている。

ビショップ vs. ナイ⁠ト 

ビショップとナイトは、どちらも3点の価値を持つ小駒ですが、強みは大きく異なります。

比較してみましょう。

ビショッ⁠プ ナイ⁠ト
移動できるマスの⁠色 一色の⁠み 両方の⁠色
得意とする局⁠面 開いた局⁠面 閉じた局⁠面
攻撃範⁠囲 長距⁠離 短距⁠離
どのような状況で威力を発揮する⁠か 終盤戦で、盤の両サイドにポーンがあると⁠き 終盤戦で、盤の片サイドにだけポーンがあると⁠き

見てのとおり、ナイトとビショップはお互いを補い合う関係にあります。それには、次のような理由があります。 

  • ナイトは通常、閉じた局面で活躍します。ポーンほかの駒を飛び越えられ、どの色のマスにも移動できるからです。 
  • ビショップは、開いた局面やエンドゲームでナイトを上回る働きをすることが多く、特にポーンが盤の両サイドにいる場合に力を発揮します。その理由の1つは、ビショップがナイトよりも「射程の長い(広範囲を攻撃できる)」駒であり、盤の両側を一度に攻撃できることです。ナイトは近くのマスしか押さえられず、盤の反対側へ行くには複数の手が必要です。 

フィアンケッ⁠ト 

ビショップを展開する特徴的な方法の1つに、フィアンケットがあります。これはイタリア語で「小さな側面」を意味します。 

盤のどちらかの側で、ナイトの初期位置の前にあるポーンを1マス前進させ、空いたそのマスへ近くのビショップを移動させます。

この位置に配置されたビショップは、盤上で最も長い2本の対角線のうちの1本を支配することになります。重要な中央のマスを押さえ、盤全体に強い圧力をかけることができます。


白のビショップ(g2)が両側(f2とh2)と前方(g3)にいるポーンに囲まれている。

フィアンケットのためにポーンを前進させると、そのサイドには潜在的な弱点が生まれます。そのため、特に同じ側にキングをキャスリングしている場合、フィアンケットしたビショップを簡単に交換して手放すべきではありません。逆に、攻撃側は相手のフィアンケットしたビショップを狙って交換せざるを得ない状況に持ち込み、その駒が消えた後に残る弱点を突こうとします。

ビショップペ⁠ア 

白マスのビショップと黒マスのビショップの両方ともが生きている状態を、「ビショップペア(を持っている)」と呼びます。

2つのビショップが協調することで両方の色のマスを支配し、盤面全体をカバーできるため、これは大きな優位性(アドバンテージ)と見なされます。

実際、多くのプレイヤーはビショップペアにボーナスとしてプラス1点の価値を与えています。ビショップ単体はそれぞれ3点ですが、ペアで揃うとしばしば計7点相当の価値があると評価されるのです。

終盤でビショップが「色違い」になってしまったと⁠き

一筋縄ではいかない終盤戦の1つが、両プレイヤーともにビショップを1個ずつしか持っておらず、それらが互いに異なる色のマス(一方は白マス、もう一方は黒マス)にいる場合です。

こうなってしまうと、なかなか決着がつかないことが多く、たとえ一方が他の局面なら大優勢であるはずの状況(チェス盤上にある両陣営の駒の点数を合計したときに勝っているはずでも)でも、勝ちきれないことがままあります。なぜなら、一方のビショップは、もう一方のビショップが守っているマスを絶対に攻撃できないからです。プレイヤーはそれを利用して、重要なポーンや駒を、相手のビショップが入れない色のマスへ意図的に配置して、完璧な要塞を築くことができるのです。

ビショップは長距離射程の実力者! 

ビショップは、長距離を攻撃でき、色々な戦術に利用できる、チェスにおいて万能な駒です。ビショップの扱い方をマスターすれば、その強烈なダイアゴナル(斜線)攻撃は、盤上であなたを勝利へ導く強力な武器になるでしょう。