新しい言語を学ぶときの大切なステップのひとつは、その言語のアルファベットに親しむことです。ドイツ語では、アルファベットを「das Alphabet」と呼びます。各文字の音を一つひとつ切り離して学んでおくと、発音の改善や、ドイツ語のヒアリングに役立ちます。

そこで今回のブログでは、ドイツ語のアルファベットについて知っておくべきことをすべて、まとめてみました!

ドイツ語のアルファベットとは?

英語スペイン語フランス語のような言語では、「アルファベットの文字数はいくつ?」と聞かれてもすぐに答えられますが、ドイツ語の場合は少し話が複雑になります。

まずドイツ語のアルファベットには、基本の26文字があります。これに加えて、変音記号「ウムラウト」が付いた3文字(「ä」「ö」「ü」)と、「Eszett(エスツェット)」と呼ばれる文字「ß」(英語の「dress」に含まれる「s」の音のような発音)があります。これらを独立した文字として数えるか、それとも他の文字のバリエーションとみなすかによって、ドイツ語のアルファベットの数は変わり、最大で30文字あることになります。ただし、ほとんどの人は26文字として扱っています。

大文字 小文字 単語の例
A a Apfel
リンゴ
B b Buch
C c Clown
道化師
D d Dusche
シャワー
E e Elefant
F f Fisch
G g Gast
ゲスト
H h Haus
I i Insel
J j Jacke
ジャケット
K k Katze
L l Löwe
ライオン
M m Milch
ミルク
N n Nase
O o Obst
果物
P p Post
郵便
Q q Quadrat
正方形
R r Rose
バラ
S s Sonne
太陽
T t Tier
動物
U u U-Bahn
地下鉄
V v Vogel
W w Wasser
X x Xylofon
木琴
Y y Yoga
ヨガ
Z z Zebra
シマウマ

上記の26の基本の文字の他に、ドイツ語のアルファベットにはウムラウトとエスツェットも含まれます。

大文字 小文字 単語の例
Ä ä Äpfel
「リンゴ」の複数形
Ö ö Öl
Ü ü Übung
練習
ß Fuß*

【*注意】「ß」で始まる単語は存在しません!この文字は、単語の途中または語尾にしか、現れません。

歴史的には、ウムラウトは「a」「o」「u」の上に、とても小さな「e」を直接のせて書かれていました。時代の経過とともに、この小さな「e」は、現在使われている2つの点へと変化しました。この経緯から、使っているキーボードにウムラウトがない場合は、代わりに「ae」「oe」「ue」と書くことができます。ただし、ウムラウトの代わりに単に「a」「o」「u」を使うのは厳禁です!ドイツ語では、これらはまったく別の文字であり、音が異なるうえに、単語の意味まで変わってしまうのです。たとえば、「zählen」は「数える」という意味ですが、「zahlen」 は「支払う」という意味です。


ドイツ語のアルファベットで使われるすべての文字には、小文字(Kleinbuchstaben)と、大文字(Großbuchstaben)があります。たとえば「großes A(大文字のA)」「kleines a(小文字のa)」といった言い方で呼ぶこともあります。ラテンアルファベットを使う言語は他にも多くありますが、ドイツ語は大文字を使う頻度が高いのが特徴です。というのも、ドイツ語では名詞はすべて大文字で書くからです(名詞として使われている動詞も含みます!)。そのため、「 Meine Freundin hilft dem Kleinen beim Lernen(私のガールフレンドは、その小さい子の勉強を手伝っている)」のような文を目にしても、「大文字だらけ!」と驚かないようにしてください。


ドイツ語を学んでいる方なら、ドイツ語には男性・女性・中性の3つの文法上の性があることをご存じかもしれません。「文字」を意味する単語は男性名詞なので「der Buchstabe」と言いますが、個々の文字そのものは中性名詞です。よって、中性名詞に付く冠詞「das」をつけて、「das D」「das U」「das O」といった具合になります。


ドイツ語では、ほかの文字よりも使用頻度が低い文字もあります。たとえば、「q」「x」「y」はあまり頻繁には出てきません。そして、これらが使われる場合でも、多くは他の言語からの借用語です。たとえば、ラテン語由来の「Quadrat(正方形)」、ギリシャ語由来の「Xylofon(木琴)」、サンスクリット語由来の「Yoga(ヨガ)」などです。


文字「v」の発音は少しややこしく、2通りの音があります。英語での「f」のように発音される場合([フ]に近い発音。例:Vater/父)と、「w」のように発音される場合([ウ]に近い発音。例:Vase/花瓶)です。「w」という発音は、「外国語からの借用語」で、かつ「v」が単語または音節の最初に来る場合に使われるのが一般的です(例としては、フランス語由来の「Klavier(ピアノ)」や英語由来の「 Video(ビデオ)」などがあります)。一方、「v」が単語や音節の終わりにある場合は必ず「f」の音で発音され、代表例に「brav(勇敢な)」や「 kreativ(クリエイティブな)」のように、必ず「f」の音で発音されます。

特別な文字の組み合わせ

ドイツ語には、特別な発音になる文字の組み合わせがいくつかあるので、注意しておきましょう。

Ch, ch

一般的に、「c」と「h」の組み合わせは、無声の摩擦音(口の中に狭い隙間を作り、そこを通過する空気に摩擦を起こすことで音が発生する)として発音されます。ただし、「ch」の正確な発音は、その直前に来る文字によって変わります。「a」「o」「u」の後に来る場合は、「Bach(小川)」「Loch(穴)」「Buch(本)」のように、より暗く、喉の奥で出すような音になります。一方、それ以外の文字の後や、単語の頭に来る場合は、「ich(私)」「Milch(牛乳)」、「Chemie(化学)」のように、より軽くて柔らかい音になります。


なお、単語の頭に来る「ch」の発音は、ドイツ語圏のどの地域かによって異なる場合があります。南ドイツ、オーストリア、スイスでは、「Chemie」のように「 /k/」で発音する場合が多く、一方、北ドイツでは、「Chemie」のように「 /sh/」と発音されることがより一般的です。

Sch, sch

「ch」と同様に、「sch」も無声の摩擦音です。ただし、その発音は単語内のどこに位置するかや、どの文字の後ろにつくかによって変わることはありません。つまり、「Schule(学校)、「waschen(洗う)」「mischen(混ぜる)」のどの場合でも、「sch」の音は同じです。

ck

ドイツ語では、子音を組み合わせた「ck」は「k」とまったく同じ発音となります。ここでの「c」の役割は子音の音を変えることではなく、その直前に来る母音の発音を示すことにあります。「ck」が現れた場合その直前の母音は短く発音し、たとえば「Haken(かぎ)」の「a」が長母音なのに対して、「hacken(切り刻む/くわで耕す)」の「a」は短母音となります。このため、「ck」が単語の最初に現れることはなく、さらに、母音の後にしか現れません。

ドイツ語のアルファベットの使い方

名前や住所などのスペルを人に説明するときには、何らかの単語を例として使ったほうがいいかもしれません。特に電話での会話や、周囲が騒がしい場所では、「fとs」、「bとp」などを聞き分けるのが難しいことがあります。

自分で好きな単語を例として使ってもOKですが、標準化された方法もあるので覚えておくと便利です。そのひとつが、ドイツ規格協会によって定められた、ドイツの都市名を使ったアルファベット一覧です。たとえば「 Julia」という名前のスペルなら、「J wie Jena, U wie Unna, L wie Leipzig, I wie Ingelheim und A wie Aachen(JはJenaのJ、UはUnnaのU、LはLeipzigのL、IはIngelheimのI、AはAachenのA)」と言って綴ります。


ドイツ語のアルファベットを知っていることは、略語を発音するうえでも重要です。たとえば「die USA(アメリカ合衆国)」「das WC(トイレ)」「die S-Bahn(通勤鉄道、Schnellbahnという名称の略)」などがあります。

ドイツ語のアルファベットに関する豆知識

ドイツ語のアルファベットは、前述のエスツェット(「ß」という文字)を持つ世界で唯一のアルファベットであり、その点で独特です。ただし、ドイツ語圏の中でも、どこでも使われているわけではありません。ドイツ語話者が多数を占める国はドイツ・オーストリア・スイスの3か国ですが、この文字が使われているのはドイツとオーストリアだけです。一方スイスでは、「ß」の代わりに「ss」を使います。

そして、この3か国の違いはそれだけではありません!もうひとつの違いは、文字の呼び方です。ドイツの大部分では文字「j」を「j」と呼び、南ドイツ・オーストリア・スイスでは、これを「j」と呼ぶことがよくあります。また、オーストリアでは「q」をqと呼ぶのを耳にすることもありますし、エスツェットはたいてい「scharfes S(鋭いS)」と呼ばれます。

これでドイツ語のABC(とß)は完璧。さて次は?

ドイツ語のアルファベットを押さえたら、次の課題にもどんどん進みましょう!Duolingoアプリでドイツ語を学習の方は、あわせて次のブログ記事も参考にしてみてください。

本を面白そうに読んでいるフクロウのデュオのイラストと、ドイツ語アルファベットの表。30文字が、それぞれの発音を示す国際音声記号とともに一覧になっている。一覧は次の通り。A /a/、B /be/、C /tse/、D /de/、E /e/、F /ɛf/、G /ge/、H /ha/、I /i/、J /jɔt/、K /ka/、L /ɛl/、M /ɛm/、N /ɛn/、O /o/、P /pe/、Q /ku/、R /ɛʁ/、S /ɛs/、T /te/、U /u/、V /faʊ/、W /ve/、X /ɪks/、Y /ʏpsilɔn/、Z /tsɛt/、Ä /ɛ/、Ö /ø/、Ü /y/、 ß /ɛstsɛt/。