「Duolingoへの質問」へようこそ。このコラムでは言語学習者へのアドバイスを紹介します。過去の記事はこちらをご覧ください。

学習者の皆さん、こんにちは!今回は、お待ちかねの「文法上の性」第2弾をお届けします!それではさっそく、前回の記事でご紹介した質問のおさらいから!

Duolingo宛ての手紙のイラスト。手紙には次のように書かれている。「Duolingoに質問です。今フランス語を学んでいるのですが、名詞に男性名詞と女性名詞があると聞いてびっくりです。たとえばクロワッサンにはオス・メスの区別はないのに、なぜ男性名詞なんですか?よろしくお願いします。納得できない!より」

前回は、この質問にお答えして「文法上の性」(grammatical gender)について掘り下げました。「文法上の性」とは、名詞をカテゴリー分けするルールだというお話をしましたね。

そして、単語の意味から性を当てることはほとんどできない…というのが、がっかりポイントでした。しかし、ここからは逆転しますよ!男性名詞か、女性名詞か、あるいは中性名詞か。それを見分けるための主なルールを、一挙にご紹介します!

言語によってこんなにちがう!「文法上の性」

「文法上の性」と一口に言っても、そのルールは言語によってバラバラ。性分類が「男性・女性」の2つだけの言語や、「男性・女性・中性」の3つある言語も。また、周りのどの単語が名詞の「性」とくっついて形を変えるのかというルールもいろいろです。

男性・女性だけじゃない?性のカテゴリー

「文法上の性」がある言語には、たいてい2つか3つのカテゴリーがあります。スペイン語、フランス語、アラビア語などは「男性・女性」の2つ。オランダ語、スウェーデン語、デンマーク語などは「通性・中性」の2つ。そして、ドイツ語、ウクライナ語、ギリシャ語などは「男性・女性・中性」の3つに分けられます。

名詞の性に合わせて変化する単語はどれ?

名詞の形だけでなく、それに連動して周りの単語も変化するのが、「文法上の性」の仕組み。全ての名詞は性カテゴリー(男性、女性など)に分類されており、文中ではその名詞と結びつく他の単語(形容詞など)もその名詞のカテゴリーに合わせて形が変化します。

どの単語が名詞の性と合わせて変わるのかは、言語によって違います。まずは、スペイン語とロシア語を例に見てみましょう。いずれも名詞の性に合わせて形容詞は変化しますが、動詞まで変わるのはロシア語だけ。ロシア語では、過去形の動詞だけが名詞の性によって変わるのです。それでは、以下の二つの表を見てみましょう!(和訳は最下部です。)

形容詞

言語 男性名詞を使った例文 女性名詞を使った例文 変化の有無
スペイン語 El carro es rojo. La mesa es roja.
ロシア語 Машина красная.
(Mashina krasnaya)
Стол красный.
(Stol krasnyĭ)
和訳
日本語 車は赤い テーブルは赤い 対象外*

動詞

言語 男性名詞を使った例文 女性名詞を使った例文 変化の有無
スペイン語 El carro estaba aquí. La mesa estaba aquí.
ロシア語 <Машина была здесь.
(Mashina byla zdes’)
Стол был здесь.
(Stol byl zdes’)
和訳
日本語 車はここにありました テーブルはここにありました 対象外※

※日本語には名詞に性がないので、変化の有無は対象外です。

注:「車」はスペイン語では男性、ロシア語では女性です。「テーブル」はスペイン語では女性、ロシア語では男性。やっぱり「文法上の性」は、言葉の意味からは連想できないのですね…って、そこ、引きずりすぎ!(笑)

言語別!「文法上の性」を見分ける便利な手がかり

まだがっかりしているそこのあなた!今回の記事では、逆転をお約束しましたよね。言葉の意味からの連想は無理でも、便利な手がかりはあるんです。注目すべきは、単語の「語尾」

ここからは、いくつかの言語を例に挙げて、性の推測に役立つ、超便利なヒントを一挙にご紹介します!

アラビア語
フランス語
ドイツ語
ポルトガル語
ロシア語
スペイン語
ウクライナ語

スペイン語とポルトガル語の「文法上の性」を見分けるヒント

スペイン語とポルトガル語はいずれもロマンス語の、親戚同士。「性」のルールもよく似ています。すべて同じわけではありませんが、この共通ルールを知っておけばかなりの単語を網羅できますよ。

  1. 人を表す単語は、たいていその人の性別に合わせます。職業を表す単語も同じく、その仕事をしている人の性別に合わせることがほとんど。
    • スペイン語el hombre(男性)、el artista(男性アーティスト)、la mujer(女性)、la artista(女性アーティスト)など
    • ポルトガル語o príncipe(王子)、o dentista(男性の歯科医)、a princesa(王女)、a dentista(女性の歯科医)など
  1. 「-o」で終わる名詞はほとんど男性。「-a」で終わる名詞はほとんど女性です。
    • スペイン語el libro(本)、el oro(金)、la mesa(机)、la lechuga(レタス)など
    • ポルトガル語o carro(車)、o tijolo(レンガ)、a folha(葉)、a rua(道)など

ここまで覚えたら、次は最後の音節に注目するのがカギ。最後の1文字だけを見るよりも、語尾全体を見るほうが確実です。

  1. 「-ama」や「-ema」で終わる名詞のほとんどは、男性です。(これらはギリシャ語由来の単語です。)
    • スペイン語el programa(番組・プログラム)、el tema(テーマ・話題)など
    • ポルトガル語o quilograma(キログラム)、o problema(問題)など
  1. スペイン語は「-ción」や「-sión」、ポルトガル語は「-ção」や「-são」で終わる名詞のほとんどは、女性です。
    • スペイン語la acción(行動・アクション)、la televisión(テレビ)など
    • ポルトガル語a emoção(感情)、a visão(視覚・ビジョン)など。例外:o coração(心臓)と o calção(ショートパンツ)は男性です!
    • el avión と o avião(飛行機)は例外で、男性名詞です!
  1. スペイン語では「-dad」、ポルトガル語では「-dade」で終わる名詞のほとんどは、女性です。
    • スペイン語la edad(年齢)、la igualdad(平等)など
    • ポルトガル語 a cidade(都市)、a nacionalidade(国籍)など
  1. 特によく使う言葉の例外には注意し、暗記してしまいましょう。例えばスペイン語では、la mano(手)、la foto(写真)、la moto(バイク)はすべて女性です。la foto は la fotografíaの略、la moto は la motocicletaの略だと知れば、納得ですね。

それではちょっと休憩タイム。スペイン語とポルトガル語の「文法上の性」に関する、オモシロ豆知識をどうぞ!

  • ブラジル初の女性大統領(ジルマ・ルセフ氏)が誕生したとき、ブラジルの人々は「女性の大統領」を指す言葉として、これまでの「a presidente(ア・プレジデンテ)」ではなく、語尾をさらに女性っぽくした「a presidenta(ア・プレジデンタ)」という言葉をよく使うようになりました。当時は「ポルトガル語を勝手に変えるな!」なんて声もありましたが、実はこれ、100年以上前から辞書に載ってた言葉だったんです。
  • スペイン語では、águila(ワシ)、agua(水)、arte(芸術)のように、最初の「a」を強く発音する女性名詞に関しては、単数形のときだけ男性冠詞の「el」を使います。本来なら女性冠詞の「la」を使いたいところですが、「a」の音が連続してしまうと発音しにくいからです。英語でもa appleではなくan appleと言うのと同じ理由ですね。ところが、複数形になると「las aguas」のように本来の女性冠詞に戻ります。「s」の音を挟んで「a」の連続を避けているんですね。
  • スペイン語のlavaplatos(食洗機=お皿を洗うもの)や、ポルトガル語のguarda-chuva(傘=雨から守るもの)のように、動詞から始まる複合名詞は、語尾に関係なくすべて男性になります。したがって、これらはそれぞれel lavaplatos、o guarda-chuvaと、男性冠詞がつきます。皿洗いから雨よけまで…ちょっと紳士な男性を妄想してみるなど。

ロシア語とウクライナ語の「文法上の性」を見分けるヒント

スペイン語とポルトガル語のように、ロシア語とウクライナ語も遠い親戚のような関係にあるので、性のルールが似ています。また、覚えるルール自体はスペイン語・ポルトガル語と比べて少ないですが、「男性・女性・中性」とカテゴリーが3つあります。

  1. 硬子音で終わる名詞は、ほとんど男性です。
    • ロシア語 стол(stol、机)、карандаш(karandash、鉛筆)など
    • ウクライナ語 паспорт(pasport、パスポート)、дім(dim、家)など
  2. どちらの言語でも、「а (a)」や「я (ya)」で終わる名詞はほとんど女性です。ただし、ロシア語の папа(papa、お父さん)など、男の人を指す名詞は例外で、男性になります。
    • ロシア語 книга (kniga、本)、машина(mashina、車)など
    • ウクライナ語 кава(kava、コーヒー)、історія(istoriia、歴史)など
  3. ロシア語で母音の「о」、「ё (yo)」、「е」で終わる単語、そしてウクライナ語で「o」で終わる単語は、ほとんど中性名詞です
    • ロシア語 солнце(solntse、太陽)、дерево(derevo、木)など
    • ウクライナ語 місто(misto、都市)、вікно(vikno、窓)など
  4. ロシア語の例外 ロシア語では、軟子音で終わる名詞は男性にも女性にもなり得るため、これらは暗記するしかありませんが、数はそこまで多くないので安心してくださいね!

  5. ウクライナ語の例外 ウクライナ語のволосся(volossia、髪)は女性名詞の典型「я」で終わるのに中性名詞、тато(tato、お父さん)は中性名詞の典型「о」で終わるのに男性名詞です。

フランス語の「文法上の性」を見分けるヒント

フランス語学習者のみなさん。残念ながら、スペイン語のように「語尾が -o なら男性、-a なら女性」といった、万能ルールはありません。しかし、いくつかのパターンを見つけることはできます。単語の意味に関連した手がかりもありますよ!

  1. 人や職業を表す名詞は、その人物の実際の性別と同じ性になります。
    • 男性名詞le responsable(男性のマネージャー)、le touriste(男性の観光客)
    • 女性名詞la responsable(女性のマネージャー)、la touriste(女性の観光客)
  1. 無生物名詞(人や動物ではない名詞)は、単語の語尾にヒントが。例外はありますが、これさえ押さえておけば、かなりの確率で見分けられます!
    • 男性名詞の語尾-al、-eau、-et、-ier (l'eau「水」は女性、など例外もあり)
    • 女性名詞の語尾-ade、-ale、-ette、-ille、-oire、-sion、-tion など、アクセント記号のない「-e」。(-acle、-age、-ismeなどは、例外的に男性になることが多い)
  1. 語尾とは関係なく、性別があらかじめ予想できる名詞のジャンルもあります!例えば、以下のジャンルは全て男性です。
    • 曜日と月le mardi suivant(次の火曜日)、un décembre froid(寒い12月)など
    • 季節un printemps ensoleillé(晴れた春)、un été chaud(暑い夏)など
    • 言語le français(フランス語)、le russe(ロシア語)など

アラビア語の「文法上の性」を見分けるヒント

これまでのインド・ヨーロッパ語族の言語とは違って、アラビア語はセム語族に属します。アラビア語には、男性と女性の2つのカテゴリーがあります。いろんな意味で、アラビア語は他の言語よりも性の判別がとても簡単です。

  1.  多くの場合、人間や動物を表す名詞は、実際の性別と同じ性になります。女性やメスの動物を表したいときは、語尾(アラビア語は右から左に書くので、左端が語尾です!)を女性形に変えるだけでOKです。
    • 男性名詞 طبيب (Tabiib、男性の医者)、 قط (qiTT、オスの猫)
    • 女性名詞 طبيبة (Tabiiba、女性の医者)、 قطة (qiTTa、メスの猫)
  1. 無生物名詞(人や動物ではない名詞)の場合は、語尾で判断します。ほとんどの女性名詞は次の3つの語尾のいずれかを持つため、これが男性名詞との判別方法になります。
    • 女性名詞「 ا 」(aa) 、 「 ى 」(aa) 、 「 ة 」(a/at)で終わる単語。
    • 男性名詞上記3つの語尾を持たない単語。
  1. 2.のルールは便利ですが、以下のような例外もあります。خليفة (khalif、カリフ)、 قادة (qaada、指導者たち)など、女性形語尾「 ة 」(a/at)を持つ男性名詞もあります。شمس(shams、太陽)、 حرب (Harb、戦争)、 عين (3ayn、目)や يد (yad、手)のように対になっている身体の部位など、女性形語尾のない女性名詞もあります。 

こちらでも、アラビア語の文法上の性に関する興味深い豆知識をご紹介します!

    • オス・メスに関係なく、常に文法上の性が決まっている動物もいます。常に文法上の性が女性の動物の場合、前にذكر (dhakar、オス)をつけるとオスになります。例えば、「フクロウ」は女性名詞の بومة (buuma)ですが、オスのフクロウは ذكر البوم (dhakar 2albuum)となるのです。
    • ほとんどの女性名詞の語尾にあるこの文字「 ة 」(a/at)には、実は「女性」を表す以外にも、面白い役割があるんです。その一つが、全体を表す言葉から「1つ」を切り出すという機能。例えば、オリーブの総称を指す زيتون (zaytuun)に「 ة 」をつけると、1粒のオリーブを意味する زيتونة (zaytuuna)になります。他にも、レバント・アラビア語で「男の人」を意味する زلمة (zalame)の語尾も「 ة 」です。このことからも、「 ة 」には、「女性語尾」という説明だけでは収まりきらない、幅広い役割を持つ語尾であることが伺えます。

ドイツ語の「文法上の性」を見分けるヒント

ドイツ語には3つの文法上の性(男性・女性・中性)と「格変化」があり、語尾だけで性を判断する絶対的なルールはありません。さらに、冠詞「der、die、das」は複数の役割を兼ねているという複雑さ。でもご安心ください。皆さんの疑問には、こちらの記事で分かりやすくお答えしています!

ドイツ語の名詞の性はどうやって見分けるの?
名詞の「格」ってなに?
ドイツ語の所有代名詞はなぜあんなにたくさんあるの?
ドイツ語の複数形〜ルール、具体例、例外について

「文法上の性」の学習方法

性の仕組みが一通り分かったところで、これらを身につけるための効果的なコツをいくつかご紹介します!

    •  名詞と「性」はセットで覚える。単語帳を作るなら、性が分かるヒントもセットで書き込みましょう!例えばイタリア語の「casa(家)」なら、女性名詞を表す定冠詞「la」と一緒に「la casa」とメモします。さらに、おすすめは「la casa rossa(赤い家)」のようにフレーズで書くことです。そうすると、名詞「casa」にくっつく単語の変化も一緒に覚えることができます。イタリア語の「blu(青)」のように、性で変化しない形容詞を書いてしまうと混乱してしまうので、ここではしっかり語尾変化のあるものを選ぶようにしましょう。語尾から名詞の性を推測するのが難しいフランス語を学ぶときに、この方法は特に役に立ちますよ!
    • 定期的に文章に触れる。本、インスタの投稿、Reddit(海外の掲示板サイト)など、何でも構いません。リアルな文脈の中で名詞に触れることで、性に合わせて周りの単語がどのように変化しているのかがどんどん見えてきます。性のルールには例外がつきものですが、リーディングを通じて生きた言葉をたくさん浴びることが、定着への何よりの近道です。
    • 性に囚われすぎない。性を間違えただけで意味がガラリと変わったり、相手に全く通じなくなったりするケースは稀です。だから、間違えても大丈夫!言語学習は、コミュニケーションを取ることが本来の目的だということ忘れないで。ドイツ語で、男性名詞のder Kiwi(キーウィ鳥)と、女性名詞のdie Kiwi(キウイフルーツ)がごっちゃになるのも、会話の中ではご愛嬌!

性の間違いで意味が完全に変わってしまうような例はそれほど多くはないけれど、知っておくのも楽しいですよね! 😉

ここからは、3つのロマンス語を例に挙げて、いくつか面白い例を見ていきましょう。

フランス語

男性名詞の場合の意味 女性名詞の場合の意味
livre ポンド(重量や通貨)
tour ツアー、周遊、見学
mode 設定、モード ファッション、流行

ポルトガル語

男性名詞の場合の意味 女性名詞の場合の意味
cara 男、奴
rádio ラジオ(受信機) ラジオ局
grama グラム(重量の単位) 芝生、草

スペイン語

男性名詞の場合の意味 女性名詞の場合の意味
papa ローマ教皇(法王 ジャガイモ
guía ガイド(ツアーの案内人など) ガイドブック(案内書)
frente 正面 額(おでこ)

パターンを掴んだら、さぁ使ってみよう!

一見、予測不可能な「文法上の性」ですが、頼れる手がかりもたくさんありましたね。🧩 語尾に注目し、名詞を冠詞とセットで覚え、たくさん触れていく中で規則性に気づいていく。そうすると、皆さんの直感もどんどん鍛えられていきます。ややこしく感じていたことも徐々にしっくりくるようになっていくはずですよ。💡

言語や学習に関するその他の疑問については、dearduolingo@duolingo.comまでメールでお気軽にお問い合わせください。

※本記事の文法解説は、以下の教育・翻訳の専門家チームの監修のもとでお届けしました。Dr. Hope Wilson, Mykhaylo Zakryzhevskyy, Dr. Sharon Wilkinson, Dr. Emilie Zuniga, Lucimary Gama, Dr. Kristina Schoen, Annina Pfennig