「Duolingoへの質問」へようこそ。このコラムでは言語学習者へのアドバイスをご紹介します。過去の記事はこちらをご覧ください。

学習者の皆さん、こんにちは!今週は、語学学習者が皆知りたがっているけれども簡単には答えられない、ある質問を取り上げました。これに対し、どの言語の学習にも使えるステップ・バイ・ステップの説明でお答えしています。それでは見てみましょう!

今週の質問

Duolingoへの質問の手紙のイラスト。Duolingoへの質問です。私はDuolingoでロシア語を勉強していますが、いつも頭の中で単語を英語からロシア語に訳していることに気づきました。どうしたら直接ロシア語で考えられるようになりますか?よろしくお願いします。 「考えながら話す」より

「つい頭の中で翻訳してしまう」は、特に初級から中級の学習者にとっては、ごく普通に起こることです。とはいえ、なんとももどかしい現象ですよね!私たちの脳は、ついつい慣れた言語に向かってしまうようにできています。というのも、慣れた言語ほど脳内の神経結合も強いからです。「新しく学んだ言語をできるだけ早く、実践的に使えるようにしたい!」「いちいち翻訳するプロセスを挟まず、頭の中の考えを学習中の言語で直接表現したい!」と思っているのはあなただけではありません。

でも、一体どうやって練習すればいいのでしょうか?

母語ではない言語で考える力を身につけるには、とにかく練習あるのみ!そして忍耐も必要です。とはいえ、挑戦するのに早すぎるということはありません!今週は、私が新たな言語を学ぶときによく使うエクササイズをご紹介します。私は、まだ数個の単語しか知らないような状態から、この練習を始めます。よって、中級者は最初の数ステップを飛ばしてもいいかもしれません。また、他にも気に入ったやり方が見つかれば、どんどん取り入れてください!

基本のルール

この「考える練習」は(特に調子をつかむまでは)ゲームだと思って取り組んでください。私が守っているルールは3つ。そして1つ目のルールが、極めて重要です。

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【ル-ル①】すでに知っている言葉だけを使う。

このルールを徹底するのは意外に難しい。というのも、最初のうちは、知っていることが非常に限られているからです。でもそれを気にしないこと。むしろそれこそが重要なんです。新たな言語で考えるというスキルを身につけるには、学んだ単語を完全に吸収し、一瞬でスラスラと思いつくことのできる単語を増やしていく作業が必要です。まだ学習していない単語があったら、それは考える練習に含めないでください。

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【ルール②】大声で話す機会をできるだけ多く作る。

学習者の大部分にとっての本当の目標は、会話でその言語を使うことです。ではその言語で「考える」だけでなく、自分に向かって「話しかけて」みましょう!家で一人のときにやってみる、ペットに話しかける、公園を散歩しながら(イヤホンをつけて誰かと電話しているふりをしてもOK!)など、気を使わずに大声で独り言を言えるような機会を、できるだけ見つけてください。

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【ルール③】多くを期待しない。

習ったばかりの言語で考えるということは、以下を意味します。

  • 🥴自分の思考が幼稚だと感じるでしょう。
  • 🤐多くを語ることはできません。
  • 🥱気の利いたコメントもできません。
  • 😱間違ってばかりいるはずです。(でも、それこそが大事なんです!沢山の間違いを経験し、ミスをすることに慣れてください!)

これで心の準備はできました。では早速、「考える」ステップに移りましょう!

ステップ① 知っている単語を思い浮かべる

最初は、ごく小さなことから始めましょう。この段階で目指しているのは、翻訳の過程をはさまずに、頭に浮かんだ考えと知っている単語を直接つなげられるようにすることです。考えていること(あるいは声に出して言っていること)が意味不明でも、また、きちんとした文章でなくても大丈夫。切れ切れの単語から初めてOKです!

たとえば英語の学習者であれば、「Coffee… man… girl… and… the…」こんな感じでやってみましょう!ここでの目標は、自分がすでに学んだ言葉を使ってみること、そして繰り返し思考に焼き付けることです。

Duolingoレッスンの活用法:「一瞬で頭に浮かぶようになって欲しい」と思った単語やフレーズがあれば、スクリーンショットを撮っておきましょう。そして別途時間をとって、それらを「思い浮かべる」練習をしてください。

ステップ② 短い文章を考える

このステップでは、単語をグループ化します。まだ完全な文章を作る必要はありませんが、バラバラの単語の代わりに「Coffee and tea」といった具合に思い浮かべてみてください。ここでどんなフレーズができあがるかは、何を学んだか、そして記憶から引き出すのが一番簡単なのは何かによって決まります。よって単純すぎたり退屈だったり、または繰り返しだったりしても気にする必要はありません。ただしルール①「知っている言葉だけを使う」はお忘れなく!

ここでは、単語と思考のつながりを強化し続けながらも、思考をもう少し実用的なものにレベルアップすることが目標です。言語の習い始めは「and」を使って単語をつなげるなどの簡単な方法を取り、動詞を習い始めたら、それを取り入れて「The coffee is here」「The tea is here」「The man is here」「The girl is here」といった文章に進むというやり方もできます。

この練習を進めていくと、自分がステップ1と2の間を行ったり来たりしていることに気がつくでしょう。新しい単語を個別に思い浮かべる練習をしていると、そのうち知っているフレーズや文章の中に組み込んでみたくなるはずです。言語を学ぶ期間が長くなるにつれ、文やフレーズに新しい単語が次々と追加されていきます。

Duolingoレッスンの活用法:自分にとって特に関連性のある、あるいは興味深い動詞やフレーズに出会ったら、それをスクリーンショットに撮っておき、考える練習に取り入れましょう。また「May I have a ___?」 や「I'd like to ___」のように、使いまわせるフレーズを記録することもできます。

学習中の言語で「考える」ことがゴールであっても、そのついでに他のスキルを練習することも可能です。私が好きなのは、単語をフレーズにまとめる練習をするために、短い文章や会話を書くことです。この場合も、ルール①「知っている言葉だけを使う」を心掛けましょう。

ステップ③ 周囲のものについて実況中継する

語彙と文法が増えてきたら、「一人実況中継」を始めてみましょう。「何それ?カッコ悪い...」などと思わないこと😅あくまで、脳のネットワークを構築し考え方を学ぶための練習なのだということを忘れないでください。これはいわばスポーツのようなもの。テニスの試合に向けたトレーニングであれば、素振りをはじめ、実際のプレーとはかなり違った練習も沢山するはず。本番のための筋肉と技術は、そうやって鍛えるものです!

ステップ③では、実際に見たもの、今やっていること、想像したことなどを描写します。すでに知っている言葉だけを使うというルールがあるため、似たような文章の繰り返しになるかもしれません。「I am here」「 I am at home」「I have a bed」「I have a cat」などです。それでも、これをできるだけ長く続けてみてください!このような基本の言い回しに慣れてくると、新しい単語を取り入れたり、より長い文章を作ったりしやすくなるはずです。

Duolingoレッスンの活用法:考える練習の直前にレッスンを1つ(または2つ!)行い、そこで見た語彙や文法から、想像力を働かせましょう。レッスンの特定のトピックについて考えてみる、レッスンに出てきた特定の文法の構造にフォーカスして考えてみるなど、いろいろチャレンジしてみてください。

ステップ④ 以上のステップをできるだけ数多くこなす 

これは必ずしも別のステップではなく、単語を少ししか知らない段階にあってもできることです。もちろん声に出して話すのがベストではありますが、考えるだけのエクササイズなら、いつでもどこでもできますよね。バスや電車での移動の最中、手を洗っている間、列に並んでいるとき、エレベーターの中...こういった隙間時間に、口は閉じたまま、単語やフレーズ、文章を考えてみましょう!

これは筋トレのようなものです。コミュニケーションに必要な思考・単語・文法を同時に使えるように脳を慣らす、つまり身体記憶を鍛えているのです。振られた話題について完全な文章で話せるレベルに一気に到達することなんて、普通の学習者にはできません。しかし誰でも、小さなことから始め、練習を重ねることによって、そこまで到達することができます!

ステップ⑤ 振り返って復習項目をピックアップ

文章を作ったり実況中継をしたりする段階になると、素早く記憶から引き出す必要があるのはどのような単語やフレーズか、ということに気づき始めます。それらをスマホやノートに記録し、レッスンでもそのような表現に出会ったら、これも書き留めておきましょう。そして考える練習に入る前にさっとリストを見るようにすれば、エクササイズに新しい項目を取り入れることができます。

この方法ならば気軽にできるだけでなく、特に練習したい文法や語彙にフォーカスすることもできます。たとえば、今度親戚と会うときに、学習中の言語で、最近行った旅行について話してみようと思うのであれば、過去形で話すことが必要になりますよね。そこで、どの動詞の過去形をよく知っているか?不規則活用の動詞はどれか?すぐに思い浮かばない動詞は何か?等を振り返り、集中して練習してみましょう。

Duolingoレッスンの活用法:レジェンドレベルや以前のユニットの練習をすることも、まだ自分の思考回路に定着していない語彙や文法をピックアップするのに最適です。

考える材料はいくらでもあります!

この「考える練習」を日々の生活に取り入れ、ステップ③を一定期間続けることによって、あなたの脳は、身の回りのトピックを外国語で考えることに段々と慣れてくるはずです。語彙、文法、発音と同様に、外国語で考えることも、継続こそが習得の鍵。毎日、ほんの少しづず、続けて見て下さいね!

言語や学習に関するご質問は、dearduolingo@duolingo.comまでメールでお問い合わせください。