言語を学んでいる人なら、多かれ少なかれ、語学への「愛」を感じているはず。新しい動詞の時制を覚えた時の興奮、その言語で始めて冗談を言ってみた時のドギマギ感、朝の通勤中に誰かがその言語を使っているのを耳にして理解できた時の感動...その感覚が、ロマンス諸語で言う「amore(愛)」です。

オスカーとデュオがステージでロマンチックに歌いながらバラの花束を手にしているイラスト

しかし言語学上の「ロマンス語」は、愛やロマンスとはまったく関係ありません。フランス語、スペイン語、イタリア語などのロマンス諸語は、愛をささやくのに最適な言語かもしれませんが、ロマンチックな詩や情熱がこれら言語の共通点というわけでもありません。これらの言語の本質的な共通点 — それは、ラテン語なのです。

ロマンス諸語の祖先はラテン語

ラテン語インド・ヨーロッパ語族に属します。これはヨーロッパと中央アジアを起源とする、膨大な関連言語群です。ラテン語はローマ帝国の勢いに乗ってヨーロッパ各地に広がり、既に独自の住民、言語、文化が存在していたスペイン、フランス、バルカン半島などでも、このローマ人の言語が定着しました。

ローマ人の出現により、彼らが話していたラテン語のバリエーション(俗ラテン語やロマンス祖語と呼ばれます)は、支配地の言語と混ざって別の方言になったり、現地語を第二言語に押しやったり、ひいては現地語を絶滅させたりしました。時を経て、こうした各地域の口語ラテン語は、現在ロマンス語と呼ばれる「互いに異なるがよく似ている」諸言語へと発展していったのです。

今日でも10種類以上のロマンス語が存在

言語は、常に変化を続けるものです。したがって、ロマンス語の中には消滅してしまったものもあります。これらには、かつてアドリア海沿岸で話されていたダルマチア語、ポルトガル等のセファルディ系ユダヤ人コミュニティでかつて使用されていたユダヤ・ポルトガル語、スペイン北東部で中世に重要な言語であったナヴァロ・アラゴネス語、かつてチャンネル諸島のオルダニー島で話されていたオーレグネ語などがあり、その他にも、イベリア半島でゴート語の影響を受けたロマンス語「ゴシック・ロマンス語」が存在したという仮説もあります。

しかし幸いなことに、他の多くのロマンス語は生き残っています。スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、フランス語については既に触れましたが、さらにいくつか挙げてみましょう。

  • ガリシア語:スペイン北西部のガリシア自治州で約220万人の話者がいます。
  • アストゥリアス語:スペイン北部のアストゥリアス地方で使用され、約10万人の母語話者と、第二言語としての話者数十万人が存在します。スペイン語を主に話す人口が増えつつある現在、消滅の危機にある言語と見なされています。
  • オック語:主にフランス南部で約11万人が話すほか、イタリア、モナコ、スペインのバル・ダラン地方でも使われている言語ですが、消滅の危機に瀕しているとみなされています。
  • カタルーニャ語:カタルーニャ、バレアレス諸島、アンドラ、南フランスの一部および近隣地域に900万人以上の話者がいます。
  • アルピタン語(別名:フランコ・プロヴァンス語):フランス東部、スイス西部、イタリアのアオスタ渓谷の一部地域で話されており、話者数は15万人未満です。消滅の危機に瀕しているとみなされています。
  • ロマンシュ語:スイス東部で約6万人が使用していますが、消滅の危機にある言語とみなされています。
  • ラディン語:イタリア北部のドロミテ山岳地帯、特に南チロル、トレンティーノ、ベッルーノで使用され、約3万人の話者がいますが、消滅の危機にある言語と見なされています。
  • シチリア語:シチリア島およびカラブリア州、プーリア州を含む南イタリアの一部で話され、約470万人の話者がいます。
  • サルデーニャ語:サルデーニャ島で150万人以上の話者によって使用されている。話者数が比較的多いにもかかわらず、イタリア語への言語転換が進んでいるため、消滅のリスクがある言語と見なされています。
  • ルーマニア語:主にルーマニアとモルドバで約2400万から2600万人が話し、ウクライナ、セルビア、ハンガリー、および世界中の移民先にもコミュニティが存在します。

もう1つの歴史を語るクレオール言語

ロマンス諸語の展開は、ヨーロッパに留まりません。これらの言語は、植民地化、奴隷取引、交易などを通じて世界中に広がり、多種多様な他言語と接触しました(彼らが到達した場所には、すでに独自の言語を持つ人々が存在していたからです)。そして地域に根ざした新たな変種が生まれたのです。多くの地域では、ピジン言語(複数の言語が混合し単純化されて生み出された通用語)が発達し、時にはこれが母語として次世代に継承され、クレオール言語として定着しました。クレオール言語は、独自の文法とアイデンティティを備えた完全な言語です。

ピジン言語やクレオール言語は、それらを話す人々の言語的な創造性と柔軟性によって形作られるものです。歴史的な接触を通じてロマンス諸語とのつながりを持つものも多いのですが、時を経てそれらは次第に独自性を強めていき、単なる派生語や方言以上の存在へと発展してきました。以下に、ロマンス諸語との接触によりその影響を受けながら発展したクレオール語の例を挙げてみます。

  • ハイチ・クレオール語:1000万人以上の話者を持つハイチ・クレオール語は、フランスの植民地であった時代に発展した、独自の構造、語彙、アイデンティティを持つ言語です。一部の単語はフランス語話者にも認識可能ですが、フランス語の方言ではなく、アフリカ諸語の影響と現地独特の発達によって形作られた独自の言語です。
  • パピアメント語:キュラソー島、アルバ島、ボネール島で使用されるパピアメント語は、スペイン語、ポルトガル語に加え、アフリカの言語やオランダ語をルーツに持ち、カリブ海における数世紀にわたる文化的・言語的混交を反映した言語です。
  • カーボベルデ・クレオール語:カーボベルデ諸島全域で話されるカーボベルデ・クレオール語は、植民地時代にもたらされたポルトガル語を基盤とし、西アフリカの言語的特徴が創造的に取り入れられた言語です。
  • チャバカノ語:フィリピンのチャバカノ語は、スペインの植民地時代の言語接触から生まれた言語で、スペイン語の語彙とタガログ語やセブアノ語といった現地フィリピン語の影響を受けた文法が混ざり合って形成されています。

これらの言語は、言語接触が古い言語を再構築するだけでなく、まったく新しい言語を生み出すということを示す好例です。クレオール語にはロマンス語の名残が残っているだけではなく、それらの言葉を自らに取り込んできた人々の歴史と声が刻まれているのです。

ロマンス諸語の中には征服した言語の痕跡も

言語接触は双方向の過程であるため、現代のロマンス諸語には、ヨーロッパ各地で接触したケルト語ゲルマン語、スラブ語などの言語から借用した語彙や文法規則がしばしば見られます。例えばルーマニア語はロマンス語でありながら、スラブ語からの影響を強く受けているのです。同系統のロマンス語、特にイタリア語との共通点は多いものの、ルーマニア語には、次のようなスラブ語由来の要素が存在します。

  • 発音:ルーマニア語の発音にはスラブ語の影響が見られ、たとえば「h」の音などが挙げられます。「duh(霊魂)」や「hrean(西洋わさび)」といった単語はスラブ語から借用されたもので、もしかしたらこれがルーマニア語に「h」の音をもたらした最初のきっかけかもしれません!
  • 語彙:ルーマニア語の語彙にもスラブ語の影響が明確に見られます。「prieten(友人)」「bogat(豊かな)」「rai(天国)」といった語はいずれもスラブ語に起源を持ちます。標準語で「雪」を表す「 zăpadă」 もスラブ語起源であり、その一方で「雪」でもラテン語から派生した「nea」という語は、主に詩や地方の方言で使われています。
  • 文法:ルーマニア語は、機能的な格体系を明確に保持している唯一のロマンス語です。これはおそらく、格体系を用いるスラブ語族の影響があったためと思われます。ルーマニア語の格体系そのものはラテン語由来ですが、格語尾の一部は、近隣のスラブ語から直接借用されているなどの特徴があります!

魅力的なラテン語の子孫たち

ローマ軍の遠征から山間の村々へ、ラテン語の語源からスラブ語の語尾まで、ロマンス諸語は広く、遠くまで旅を続けてきました。さあ、あなたもお好みのロマンス語と、恋に落ちてみませんか? 💘