チェスプレイヤー同士の実力差を一目で比べる方法。それが今回ご紹介する「イロ・レーティング」です!
目次
イロ・レーティングとは?
イロ・レーティング(Elo rating)とは、数学的なアルゴリズムによってプレイヤーの強さを数値化するシステムです。勝敗や引き分けの結果と、相手の実力によって自分のイロ・レーティングの値が上下する仕組みです。
この名前は、チェスプレイヤーの実力を測る仕組みを考案したハンガリー系アメリカ人の物理学者、アルパッド・イロ(Arpad Elo)教授にちなんで名付けられました。現在では「イロ(Elo)」と発音するのが一般的ですが、本来の苗字の発音は「エーレー(Elő)」に近かったと言われています。よく「アルファベットの頭文字を取った略語」だと誤解されがちですが、実は人名なのです!彼の考案したレーティングシステムは従来のやり方を大きく改良したもので、現在では主要なチェス団体の世界基準となっています。さらにこの仕組みは、テニスやボクシングといった数々の対戦型スポーツにも応用されています。
なお、イロ・レーティングは1960年に全米チェス連盟(USCF)で、1970年には国際チェス連盟(FIDE)で正式に導入されました。
イロ・レーティングの仕組みとは?
※ここからは、ちょっぴり難しい数学の用語が登場します🤯
イロ・レーティングは、ゲームにおける各プレイヤーのパフォーマンスは「正規分布に従う確率変数である」という前提に基づいています。つまり、誰にでも「平均値となる普段の実力」と、「その時々の調子による振れ幅(標準偏差)」が存在するということです。イロ・レーティングは、この各プレイヤーのパフォーマンスを表した釣鐘型の確率グラフを使って、プレイヤーAがプレイヤーBに勝つ確率を弾き出す仕組みなのです。
難しい数学の話をまとめると、自分と同レベルの相手と対局した場合、勝てばイロ・レーティングが上がり、負ければ下がり、引き分けならほぼ変わらない、ということです。
しかし、自分よりずっとレートの低い相手に勝利しても、得られるレーティングポイントはほんのわずかです。また、両者のレート差によっては引き分けでもポイントが減ってしまうことがあります。さらに、格下の相手にもし負けてしまった場合は、格上の相手に負けた時よりも多くのポイントを失うことになります。
逆に、格上の相手に勝利すればより多くのポイントを獲得でき、負けても失うポイントは少なくて済みます。引き分けであっても、ポイントが増える可能性が高いでしょう。ポイントがどれくらい増減するかはレーティングの確率モデルで計算され、対局した時点でのお互いの正確なレートによって決まります。ひとつ重要な注意点として、イロ・レーティングは同じプレイヤー層の中でしか機能しないという点があります。たとえば、全米チェス連盟(USCF)による国内レーティングと、国際チェス連盟(FIDE)による世界レーティングは、集計対象となるプレイヤー層が異なるため、直接数値を比較することはできません(実際、USCFとFIDEの両方に登録しているプレイヤーの場合、USCFのレーティングの方が100ポイントほど高く出る傾向があります)。こうしたプレイヤー層による数値の違いは、オンラインのチェス対戦プラットフォームでもよく見られます。たとえば、一部のオンラインサイトではレーティングが3300を超えるトッププレイヤーも存在しますが、公式なFIDEレーティングにおける史上最高記録は、長年世界王者として君臨したノルウェーのマグヌス・カールセンが2014年5月に記録した2882です。
イロ・レーティングはなぜ重要なの?
イロ・レーティングは、プレイヤーが自分の実力を客観的に知るための仕組みです。ライバルとの勝率を予測できるだけでなく、これまでの自分の成長がひと目でわかるため、上達を実感するツールとしてとても重宝されています。
Glicko(グリコ)システムのように、一部のオンラインプラットフォームではわずかに改良された独自システムが開発されていますが、元祖のイロ・レーティングの影響力は依然として圧倒的です。どれほど浸透しているかというと「イロ」と言えば「レーティング」を指すのが当たり前になっているほど。実際、チェスプレイヤー同士でも「〇〇さんって今イロいくつ?」などと当たり前のように聞き合っています。
イロ・レーティングとカテゴリー
設定されているレーティングの下限値(イロ・レーティング・フロア)は、団体やウェブサイトによって異なります。例えば国際チェス連盟(FIDE)では下限が1400となっていますが、全米チェス連盟(USCF)などでは100から設定されています。各団体が定める最低値に達していないプレイヤーはアンレーテッド(レーティングなし)として扱われます。ただし、どれだけ負け越したとしてもレーティングがマイナスになることは絶対にありません😅
一方、イロ・レーティングの上限値には制限がありません。ちなみに公式大会における史上最高イロ・レーティング記録は、マグヌス・カールセン(Magnus Carlsen)が保持する2882です!
イロ・レーティングは、チェスの称号やカテゴリーの目安としてもよく用いられます。「キャンディデイトマスター」より下の公式カテゴリーについては国ごとに規定が異なりますが、一般的な分類は以下の通りです。
| レーティング | カテゴリー / 称号 |
|---|---|
| ~2500+ | グランドマスター(GM) |
| ~2400-2500 | インターナショナルマスター(IM) |
| ~2300-2400 | FIDEマスター(FM) |
| ~2200-2299 | キャンディデイトマスター(CM) |
| 2000-2199 | エキスパート |
| 1800-1999 | クラスA |
| 1600-1799 | クラスB |
| 1400-1599 | クラスC |
| 1200-1399 | クラスD |
| 1000-1199 | クラスE |
| 100-999 | 初心者 |
Duolingoのイロ・レーティング
Duolingoでオスカーや他のプレイヤーと対局すると、対戦ごとに更新されるイロ・レーティングが付与されます。ただし、レーティングはあくまでそのプレイヤー層の中だけで有効なものなので、Duolingoのイロ・レーティングが他の場所に影響することはありません。同様に、現実世界や他のオンラインゲームでいくら対局しても、Duolingoのレーティングが変わることもありません!
Duolingoでのイロ・レーティングを上げるには、アプリや対面での対局数を増やすのはもちろん、チェスの本や記事を読んだり、自分のレベルに合ったタクティクス問題を解いたりするのがおすすめです。
レーティングはただの数字に過ぎない
イロ・レーティングはとても便利な指標ではありますが、それがすべてではありません! どんなに優秀なプレイヤーでも、それぞれ独自の強みや弱みがあります。だからこそ、レーティングの数字を気にしすぎないでくださいね。一局一局楽しみながら、少しずつ上達していくことに集中していきましょう💪