モチベーションは、言語学習の旅において非常に重要な要素の一つです。なぜ新しい言語を学び始めるのか?そしてなぜ学習を続けるのか?仕事や愛する人のためという人もいます。一方、文化や芸術のような言葉を超えたコミュニケーションがきっかけで、言語学習に目覚めた人もいます。ポップカルチャーがそのいい例ですね!
そして世界最大のポップカルチャー勢力の一つが、韓国のBTSです。BTS(韓国語では방탄소년단/防弾少年団[バンタンソニョンダン]と呼ばれています)は2013年のデビュー以来、全世界に数千万人もの熱狂的なファンを持つに至った7人組の音楽グループです。BTSは韓国経済に年間数十億ドルの収益をもたらしているだけでなく、世界中のファンの間で、韓国語ブームを引き起こしています。
韓国語はDuolingoで7番目に人気
世界の韓国語人口は7,700万人以上と言われており、世界で13番目に多く話されている言語です。韓国と北朝鮮の公用語であり、中国や米国にも、かなりの数の韓国語話者がいます。そしてその数は今も増え続けています!2021年、Duolingoのコースの中で韓国語は世界で7番目に人気のある学習言語となり、学習者の数は2022年にかけてさらに増えました。実際、2021年6月から2022年6月の間に、Duolingoの英語で韓国語を学ぶコースの月間のアクティブ学習者数は、29%増加しています。
韓国語は英語話者にとっては特に難しい言語です。韓国語にはハングルと呼ばれる独自のアルファベットがあり、また、文の構造もむしろ日本語と似ており、英語とはまったく異なります。アメリカ国務省は韓国語を言語習得難易度ランクで最高レベルの「カテゴリーIV言語」に分類しており、英語を母語とする人が「職業的な実務能力」に達するには、88週間または2,200時間の授業が必要と推定しています。英語話者が(もちろんその他の言語の話者でも)韓国語学習の旅を続けるには、長期にわたりモチベーションを維持することが大切になりそうですね。ここでBTSの存在が深く関わってきます!
Duolingoで韓国語を学ぶBTSファンにインタビュー
これからご紹介するのは、BTSへの限りない愛を韓国語の学習にも注いでいる、Duolingo学習者たちです。BTSをあまり良く知らないみなさんのために、各学習者には、BTSの推しメンバーについてもコメントしてもらいました!
ミシェル・ロスさんの場合
年齢:32歳
居住地:米国カリフォルニア州、ウエスト・ハリウッド
推し:シュガだけど、ジンにも心が動いています
ミシェル・ロスはパンデミック中、ウエスト・ハリウッドの自分のアパートから外出できず、欝々としていた日々を過ごしていました。そんなときに彼女の心をとらえたのが、BTSです。BTSを知ってから1か月後、ミシェルはすでにDuolingoアプリをダウンロードし、韓国語を勉強し始めていました。「何かを好きになると、110%好きになってしまうんです」とミシェルは言います。彼女はもともと、単語ならばいくつか知っている程度でした。しかし現在はDuolingoで270日連続記録を達成し、以前とは比べ物にならないレベルにまで上達しています。「私、ハングルの見た目がずっと好きだったんです。かわいらしくて、心がなごみませんか?でも、BTSを知る前はそれ以上の興味はわかず、韓国語を学ぼうと思ったことはありませんでした」
「彼らの名前を知りたかっただけなのに」 これは、BTSにちょっとでも好奇心を抱いたが最後、あっという間に心を奪われ、熱狂的なファンと化してしまうことを意味するファン達の間でお馴染みのミームです。フリーライターのミシェルはもともと、好きなものについて徹底的にリサーチする習慣がありましたが、もはや語学も、BTSを推す活動の一部となっています。「BTSの音楽が気になり始め、歌詞の翻訳をいくつか見てみたんです。とても素敵だと思いました。その後BTSのバラエティ番組、vlog(ビデオ型のブログ)、コンサートにビデオクリップ...とBTSにハマるにつれて、じゃあ韓国語も勉強してみようと思ったんです!」
ミシェルは、「いつも楽しんで韓国語を学んでいます。Duolingoはゲーム感覚で学べるので、無理せず続けられるんです。ついさぼってしまいそうになる日もありますが、すぐに周りから催促が来るので、ファンとしての務めであるレッスンを忘れずに済みます」と言います…なるほど。そういえばDuolingoキャラクターのザリも、熱烈なK-popファン。仲間がレッスンをさぼるなんて見過ごさなそう!
アライア・ジャーナ・パダグダグさん(愛称リア)の場合
年齢:21歳
居住地:フィリピン、サン・ホセ・デル・モンティ
推し:ナムジュン
BTSの活動初期にフィリピンで中学生だったリアは、彼らの音楽を時々聴くことはあったものの、大ファンというわけではありませんでした。ところが2018年に「FAKE LOVE」がリリースされてからというもの、彼女は完全に夢中になってしまいました。そして彼女の韓国語への関心も、同じような展開を迎えます。以前、好きな韓国ドラマの影響から、軽い気持ちで韓国語を学び始めたこともありましたが、学校や課外活動が忙しくすぐに挫折してしまいました。「でもBTSを好きになってから、今度こそ、彼らのために韓国語を身につけようと決心したんです」とリアは当時を振り返ります。ファンとしての熱意が、言語学習を継続する強いモチベーションとなったのです。
リアと同じような動機で言語を学習する人は、決して少なくありません。彼女はいつか韓国で勉強し、就職したいという夢を持っています。また彼女には韓国人のネット友達もいるので、韓国語でより自由にコミュニケーションできるようになりたいとも思っています。とはいえ、暇さえあればDuolingoアプリに取り組んでいるのは、何よりもBTSのため。彼女は母語のタガログ語ではなく英語版を使用して韓国語を学んでいます。「BTSの曲を、翻訳は通さずに直接理解したいんです。『Dead Leaves』が特に大好き。でも、誰かが訳した歌詞だとピンとこなくて。だから自分で翻訳できるようになりたいです」
ジャス・エドワーズさんの場合
年齢:24歳
居住地:米国カリフォルニア州、ニューベリー・パーク
推し:ジミン
ジャスがBTSのことを知ったのは仕事がきっかけでした。しかし彼女のBTS愛が揺るぎないものになったのは、東海岸から反対側のカルフォルニアへと引っ越してからです。それまで片時も離れることのなかった双子の片割れと別れなければならなくなったときに、2人の絆となったのがBTSへの愛でした。「私たちは生まれてからずっと一緒に暮らしてきました。遠く離れ離れになってしまった私たちを、BTSは、何か言葉以上のものでつないでくれました」とジャスは言います。
もともとジャスは言語を学ぶのが好きでしたが、すでにDuolingoで中国語を勉強していたため、別の言語まで学ぶ余裕はないと感じていました。ところがBTSのコンサートを見て、気が変わったようです。「メンバーたちは韓国語で私たちに語りかけてくれているのに、私は通訳がいなければ何も理解できない。だからといって、彼らに英語で話してもらいたいとも思わない。それよりも、自分自身で彼らの言葉を理解できるようになりたいと強く思ったんです」
前出のリアと同じようにジャスも、BTSの曲の歌詞を自分で解釈できるようになりたいと思っています。「私はライターでもあるので、歌詞を分析するのも面白いですね」と彼女は言います。「よくできた翻訳もありますが、それには頼らず、直接聞いて理解できるようになりたいです。『音楽は言葉を超える』と言うとおり、言葉なしでも感動は伝わります。それでも、歌詞をきちんと理解できるようになりたいんです」
言語を学ぶきっかけは様々です。しかし、多くの学習者の心の中には、学習意欲や向上心だけでなく、言語を通して他の人つながりたいという強い気持ちがあります。そう、BTSがこう歌っているように。「서로가 본 서로의 빛/같은 말을 하고 있었던 거야 우린(お互いが見たお互いの光 /同じことを言っていたんだよ、僕らは)」
BTSファンのみなさんと一緒に韓国語にチャレンジしてみませんか?Duolingoの韓国語コースをぜひ、のぞいてみてください!